ワンピース
第1159話 箱庭をブッ壊せ 脱出!ブロックの国
4月26日(日)放送分
ドラマ化もされたかっぴーさんのマンガが原作のテレビアニメ「左ききのエレン」がテレ東系列ほかで毎週火曜深夜0時に放送されている。原作は、オンラインマガジン「cakes」(2022年にサービス終了)で2016年3月に連載を開始したクリエーターたちによる青春群像劇で、累計約2億5000万PVを記録するなど人気作を集めている。「天才になれなかった全ての人へ」をキャッチコピーに、生々しくリアルに描かれるクリエーターたちの“青春”に、仕事で追い詰められ、挫折したことがある人なら誰もが心をえぐられてしまう。作者のかっぴーさんに創作秘話、アニメ化への思いを聞いた。
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「左ききのエレン」は、クリエーターの世界を舞台に、自らの才能の限界に苦しみながらも何かになることを夢見る凡人・光一と、圧倒的な才能ゆえに苦悩する孤高の天才・エレンが、もがき、くじけながらも挑み続ける姿が描かれる。デザイナーの道を選んだ光一は百戦錬磨の広告業界のクリエーターたちと、世界のアートシーンに飛び込んだエレンは怪物アーティストたちと遭遇することになる。
作者のかっぴーさんは、光一と同じく広告代理店にクリエーターとして勤務していたことがあり、当時の経験が「左ききのエレン」の創作にも繋がっている。幼い頃はマンガ家に憧れていた時期もあったそうだが、高校時代からは広告業界のクリエーターを目指し、大手の広告代理店に入社。そこで「自分で手を動かすのに限界を感じて」、面白法人カヤックにプランナーとして転職をすることになった。そこで、マンガを描き始めたという。
「アイデア、企画の部分で勝負したい、しかもインターネットにシフトしたいという思いで転職したんです。どうしてマンガを描いたかというと、最初はみんなに自分を覚えてもらうために自己紹介のつもりで描き始めたんです。日報でみんなにメールを送る時にマンガを添付してみようと。インターネットに強い会社だったので、インターネットあるあるを取り上げたマンガや、ファッションをちゃかすギャグマンガを描いたりしていました」
そんな中で、かっぴーさんと同い年のデザイナーが会社を辞めることになった。
「転職とかじゃなくて、もうデザイナーを辞めると。自分もデザイナーを辞めた身ですし、同じような経歴、年齢でそいつが辞めるとなった時、退職の日に手紙の代わりにマンガを描こうと思ったんです。それが『左ききのエレン』の最初の読み切り版で、『本気を出したなら諦めてもいい』と辞めることに対してポジティブなことを言いたかったんです。『お前は胸を張って辞める、諦めるって言えるまで頑張ったんだ』と。そいつのために描いた一方で、自分のためにも描いていて、一個気持ちの整理になったなと」
その後、かっぴーさんは同読み切りを「cakes」のコンテストに応募し、賞を勝ち取り、連載が決まった。
「連載が決まった時に、このメッセージは、僕とそいつだけじゃないなと思いました。『天才になれなかった全ての人へ』というキャッチコピーは、その時に思いついたんですけど、同じように本気でやっているけど、通用しない、突き抜けられない、いつまで続けるべきかと悩んでいる人がいる。世の中に『夢を諦めるな』というメッセージはあふれているんだけど、『こうしたら諦めてもいいよ。そしたら胸張って生きられるよ』というメッセージはないなと思って。それを言いたかった。だから、そういう人たちのために、自分のために描き始めたという感じです」
「左ききのエレン」では、広告代理店に就職した光一が寝る間も惜しんで資料を制作して挑んだプレゼンが成功し、コンペで契約を勝ち取るも、経験不足を理由にチームから外されるシーンが描かれる。かっぴーさんも同様に広告代理店時代に「自分がやらせてもらえると思った仕事がほかの人に回される」という苦い経験があった。
「広告代理店時代の時は、楽しかったんだけど、つらいこともたくさんあって、本当によく泣いてました。20代の大人の男が恥ずかしいんですけど、喫煙所でよく泣いてたな。当時の『俺の仕事なのに』『あれは俺がやるべき仕事だった』という気持ちが『左ききのエレン』にすごく投影されている。そういうのって本当に悔しいじゃないですか。選ばれなかった側の人間の気持ちというか。そういうところが共感してもらえるのかなと思います」
自身の実体験もあり、「左ききのエレン」の制作において「ストーリーに関しては詰まったことがない」そうだが、連載当初はざっくりとした年表だけを決めて、ネーム(マンガの下描き)もなく、「紙に直接ボールペンで描いていた」という。
「今はさすがにテキストでネームを書いてからセリフを固めて、1話あたりのページ数も決めて描いているんですけど、当時はそういうのは一切なくて、1ページ、1ページ描いてたんです。本当の一発描き。だから、何ページで終わるかも、次のページで何を描くかも決まってない。本当に意味が分からない描き方をしていて(笑)。ライブドローイングで描いてたんです」
そうした中で、自分の意図とは別に「キャラクターが動き出した瞬間」もあり、「ストーリーの年表は見えていたんですけど、キャラクターが動き始めて、どう展開するのか分かるという。そういう感じで描いてたので、本当に面白かったですね」と振り返る。
連載マンガを作る楽しさ、面白さがありながらも、当時は「危険な状態で描いていた」とも感じている。
「今も年に一回くらいは『描けない』『もう無理だ』という時があって、いろいろな人の力を借りて毎回復活はできているんですけど、最初の頃は特に多かったかもしれないです。『左ききのエレン』の第一部は、一番感情的に不安定というか。自分のキャリアもどうなるか分からないし、自分の感情がどっちに振れるかも分からないし、物語がどう転ぶかも分からない。全部分からない状態でぶん回されながら描いていたので、それはそうなるよなっていう感じです」
「左ききのエレン」のアニメ化が発表された際、かっぴーさんは「これが私が描きたかった『左ききのエレン』です」とコメントしている。そのコメントの裏には「アニメが一番先に進んでいる」という思いがあった。
「昨今、アニメのクオリティー、表現がすごく進化している。今のアニメは完成されているというか。やはり週刊マンガは、僕のやり方は極端にせよ、ある程度ライブ感で描いているんです。いろいろなマンガ家さんから話を聞くと、『絶対計算でやってる』と思うような見事な伏線回収なども全部ライブ感で生まれていたりするんです。それこそがマンガだなと思って。そうしたライブを週刊、隔週、月間でやっているからこそ面白い。僕たちは自分の引き出しから引っ張り出してきた何かを『うわーっ』て料理しているんだけど、そうやって一回世に出たものを解釈して、設定を決めて定着させてくれるのがアニメの表現。ライブ感でニュアンスで雰囲気で勢いで描いていたものが、アニメによって、ある種断言される。原作を超えてくる可能性があるのがアニメ表現だと思っています」
かっぴーさんは、アニメになった「左ききのエレン」を見て、改めて「キャラクターが良かったな」と感じたという。
「やはり客観的に見れましたね。『このキャラクターいいな』と一視聴者として思えて、『そうか、これ俺が原作か。やった』と。また、励みにもなりました。『左ききのエレン』の作中で『グラフィティってのはより上手いヤツだけ上描きしていいって暗黙のルールがある』というセリフがあるんですけど、アニメを見て『上描きされた、やられたな』という感じがあったので、ここからやり返さないとみたいな気持ちです。ドラマ化の時も、nifuniさんが描くリメーク版が始まった時もそう思ったし、メディア化するたびに思うので、いいループだなと」
2016年に連載をスタートした「左ききのエレン」は、今回アニメ化される第1部完結後も、第2、3部、外伝と物語が続いている。かっぴーさんは、自身にとって「左ききのエレン」は「ライフワークです。続けなきゃいけなくなってる」と語る。
「第2部の冒頭は、エレンに似た謎のキャラクターが登場して、『彼女は誰なんだ』というところから始まるんですけど、当初は光一と彼女が出会ってからの話を描こうと思っていたんです。それで、今コミックス40巻分連載をやっているんだけど、まだ光一と彼女は出会ってすらいないんです。つまり、第2部の冒頭に追加した部分を今描いているんです。映画で言うと、タイトルが出る前のアバンなんです。どうしようと思って(笑)」
第2部では、第1部でやり残したことを描こうと考えていたが、登場するキャラクターを掘り下げて描いているうちに、コミックス40巻分にもなってしまったという。一人の人間の人生、クリエーターとしての生き様を描くためには、やはりそれほどの掘り下げが必要なのかもしれない。
「自分で今作っているから、その都度新しい負の感情というか、ドロッとした原液みたいなのがある。それは尽きないです。もしかすると、僕にとって物作りはカタルシスがないものなのかもしれないです。昔、就活の面接の時に『どういう時に達成感を感じる?』と聞かれて、中二病みたいに『達成感をまだ感じたことがない』みたいなことを言って、『今かっこいいことを言ったな』と思っていたけど、本当に今もそうで、達成感を抱いたことがあまりないんです。マンガをやっていて『いつやりがいを感じます? 読者の反響ですか?』と言われても、読者の反響がある頃には次の話を描いているし、見る暇もない。じゃあ、何に楽しさを覚えているかというと、やっぱりひねり出している時なんですよね。ドロドロした部分、ネガティブな部分をひねり出してる時にカタルシスを感じている」
現在連載中の外伝「左ききのエレン SICK」のタイトルにもなっている「SICK」は「嘔吐、吐しゃ物」を差す言葉だという。
「いわゆるゲロを差す英単語で、本当に言い方はクソですけど、吐いている時って気持ちいい(笑)。作中に登場する『吐くためには食わないといけない』というセリフは結構象徴的だなと思っていて、『SICK』に登場する柳の人生は“SICK”なんです。病んでいるし、吐いているし、吐くために食っているという地獄みたいなクリエーターなんですけど、僕の中の喜びもそっちに近いのかなと。『ドロドロしたものを描いていて疲れない?』とか言われることもありますが、『ゲロなんてドロドロしてんじゃん。なんできれいなゲロを描くんだ?』みたいに思います」
まさに身を削って描かれてきた「左ききのエレン」。華やかに見えるクリエーターの世界で懸命にもがく光一たちの物語に心をえぐられるような場面も多いが、日々を生きる力をもらえる瞬間もあるように感じる。「天才になれなかった全ての人へ」向けられた物語をじっくりと味わいたい。(しろいぬ/MANTANWEB)
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