戸谷菊之介:「機動警察パトレイバー EZY」インタビュー 桔平役の覚悟 新世代が挑む“特車二課らしさ”

アニメ「機動警察パトレイバー EZY」に出演する戸谷菊之介さん
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アニメ「機動警察パトレイバー EZY」に出演する戸谷菊之介さん

 アニメなどが人気の「機動警察パトレイバー」の新作アニメ「機動警察パトレイバー EZY(イズィー)」。「機動警察パトレイバー」は、1990年代後半という近未来を先取りしていたのに対し、新作は、労働人口減少の一途をたどる2030年代を舞台に、警視庁の特殊車両二課(特車二課)の日常や隊員の活躍を描き、特車二課のイングラム1号機パイロットの久我十和(くが・とわ)役の上坂すみれさん、同機指揮担当の天鳥桔平(あとり・きっぺい)役の戸谷菊之介さんらが出演する。3月の「第20回声優アワード」で主演声優賞を受賞し、今最も熱い視線を浴びる若手実力派声優の一人である戸谷さんに「機動警察パトレイバー EZY」への思いを聞いた。

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 ◇遊馬がよぎる

 「機動警察パトレイバー」は、汎用人間型作業機械・レイバーが実用化された世界を舞台に、レイバー犯罪に立ち向かう特車二課の活躍や隊員の日常を描くメディアミックスプロジェクト。ゆうきまさみさん、出渕裕さん、伊藤和典さん、高田明美さん、押井守さんの5人のクリエイターにより結成されたユニット「HEADGEAR(ヘッドギア)」から生み出された同プロジェクトは、1988年に“アーリーデイズ”と呼ばれる6本のOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)から始まり、ゆうきさんによるマンガ、テレビアニメ、劇場版アニメ、小説、オーディオドラマ、ゲームなどが展開されてきた。

 誕生から約38年、初期からの熱狂的なファンは今や40代以上。戸谷さんは“パトレイバー世代”ではない。

 「作品の名前を聞いたことはありましたが、見たことがなくて、オーディションのタイミングで初めて見ました。『アーリーデイズ』から見始めて、世界観がすごく面白く、偉そうな言い方になってしまいますが、これは何!? センスがすごくいい!と感じました。例えば『アーリーデイズ』の冒頭で、イングラムが登場するのを待つシーンがありますが、なかなか来ないんです。そこにそんなに尺を使う?と思ったり(笑)。イングラムの活躍を早く描いた方が分かりやすいかもしれませんが、なかなか出てこない。そこに引き込まれました。ロボットアニメということになると思いますが、イングラムが出てこないエピソードもありますし、バラエティー豊かなんです」

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 かつてアニメ界に衝撃を与えた「パトレイバー」は、令和の若き表現者の目にも新鮮に映ったようだ。

 「劇場版の第1作は、ロボットアニメらしいバトルもありつつ、第2作はシリアスで……とそれぞれに見応えがありますし、『ON TELEVISION』や『NEW OVA』などそれぞれが面白いし、僕らの世代が見ても楽しめる先見性のある作品だと感じました」

 役者として「皆さんお芝居がすごいんです」と、先達の演技に圧倒されたという。戸谷さんが演じる桔平は、かつて“大先輩”古川登志夫さんが演じたイングラム1号機バックアップ(指揮担当)の篠原遊馬の立ち位置に近い。

 「やっぱり遊馬が気になって見ていました。立ち位置が近いですし、新作を見る方も意識すると思います。“野明(のあ)”と“十和(とわ)”の語感が似ているし、『とわー!』と呼んでいるときは、遊馬がよぎりました。オーディションのときも研究していました」

 ◇特車二課らしさを

 「機動警察パトレイバー EZY」は、往年のファンにとっても信頼の厚い出渕監督、シリーズ構成・脚本の伊藤さんという盤石の布陣で贈る正統な新作だ。戸谷さんは、長い歴史を持つシリーズに身を投じる重圧を誠実に受け止めていた。

 「役が決まったとき、新参者だけど受け入れてもらえるのか?という緊張感がありました。上映会でも不安でしたが、好評だったようで、うれしかったです!」

 戸谷さんが演じる桔平は、猪突猛進気味な十和を冷静にサポートする。その内側には、旧式レイバーを愛でるロマンチストな気質も秘めている。

 「基本的には正義感が強いのですが、少し抜けているところがあります。真面目なんだけど、それが様になっていないところが可愛いんです。そこを自然に演じようとしました。少し力が抜けているのは、特車二課らしいと言いますか、そこを意識しています。『現実にいるような人たち』という演出にもなっていたので、そうなったところもあります」

 林原めぐみさんが、第二小隊の隊長として、時には優しく時には厳しく部隊を支えるお姉さん的存在の佐伯貴美香を演じることも話題になっている。林原さんはアーリーデイズや劇場版にも出演経験がある。戸谷さんは、林原さんとの共演に「すごく勉強させていただいています」と刺激を受けたという。

 「後藤隊長っぽさが少しあるんです。後藤隊長よりはしっかりしているかもしれないけど、やれやれという目線で隊員を見ていて、隊長らしさもあります。林原さんとは『桔平はなぜ警察官になったと思う?』と話をする機会もいただき、深掘りできました。身が引き締まる思いでした」

 上坂さんが演じる十和とはバディとなる。二人の掛け合いに“パトレイバーらしさ”を感じるところもある。

 「上坂さんは思い切って演じてくださるので、僕もツッコミを入れやすいですし、バディ感が生まれてきていると感じています。休憩時間も皆さんと会話が広がって、『パトレイバー』っていいな!と楽しかったです」

 ◇今は日々勉強

 戸谷さんは「チェンソーマン」の主人公・デンジ役などで活躍する人気声優で、「第20回声優アワード」で主演声優賞という大きな称号を得た。今後のさらなる活躍が期待されている。

 「一つ一つの役に対してちゃんと向き合っていきたいです。演じることや役について考えること、それぞれの作品の世界で生きることに喜び、楽しさがあります。それを変わらずにやっていきたいですし、どんどん挑戦もしていきたいです。今は新人ですが、どんどん新しい役に出会える機会をいただけるようになりたいですし、しっかり演じきれるように頑張りたいです。『パトレイバー』の現場でも、これは僕の引き出しにはないな……と勉強になることがたくさんありました。日々勉強です。年齢を重ねたら、『パトレイバー』の後藤さんみたいなキャラクターも演じることに憧れています。そういう出会いがあったらうれしいですし、そうなれるように技術をどんどん身につけていきたいです」

 「機動警察パトレイバー EZY」は、全3章、全8話構成。“File 1(第1章)”が5月15日から劇場上映されている。“File 2(第2章)”が8月14日、“File 3(第3章)”が2027年3月に劇場公開される。

 「僕が『アーリーデイズ』を見たときに面白いと思ったように、『EZY』も一つ一つのエピソードがそれぞれ違っていて、これまで見たことがないような構成になっています。『パトレイバー』は現実にあるかもしれないと思えるようなところもあって、そこも楽しめるはずです。第二小隊の面々もそれぞれにポンコツなところがあって親近感を感じるところもあるでしょうしね。これまで『パトレイバー』を見てこなかった人も楽しめるし、これまでの作品を見るとより楽しめるはずです。濃密な全8話になっています。僕自身もすごく楽しみましたし、もし今後の展開があるのであれば、どんどん演じていきたいです」

 「パトレイバー」は“終わらない”プロジェクトだ。「機動警察パトレイバー EZY」は、世代をつなぎ、新風を巻き込む。新世代も魅了し、さらなる広がりを見せてくれそうだ。(阿仁間満/MANTANWEB)

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