マリア様がみてる:自然に囲まれた廃校舎に“純潔の園” 映画ロケ現場リポート

「マリア様がみてる」で主役の小笠原祥子を演じる波瑠さん
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「マリア様がみてる」で主役の小笠原祥子を演じる波瑠さん

 名門女子校に通う少女たちの青春を描いたライトノベル「マリア様がみてる」の実写映画版の撮影が快調に進んでいる。撮影が行われているのは長野県の某所。5月とは思えない、肌寒い中で行われている同映画のロケ現場をリポートした。

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 取材に訪れたのはクランクインから6日目。空き教室でのシーンの撮影中だった。ロケ現場は、大正時代に建てられた学校の校舎。現在は廃校となっているが、まさに映画の舞台「武蔵野の丘の上にある」私立リリアン女学園をイメージさせる、ヒマラヤ杉に囲まれた自然豊かな場所にある木造洋風の建物だ。校舎は、クラスの看板や教室の案内板を新たに作るなど、一部に手を加えたのみでほとんどそのまま使われていた。

 波瑠さん(18)演じる小笠原祥子と未来穂香さん(13)演じる福沢祐巳、碓井将大さん(18)演じる唯一の男性・柏木優、滝沢カレン(18)さん演じる佐藤聖が登場した。「本番!」という声が飛ぶと、現場は一気に張りつめた空気に包まれ、出演者たちのせりふ以外は聞こえなくなった。「初日は祐巳という役に入りきれなかった」という未来さんは、自身の撮影シーン以外でも役に入り込んでいるのか、現場では声をかけられないほど真剣な表情で待機している。撮影前の滝沢さんは「今日、クールな聖が感情的になって怒鳴るシーンを撮ります。聖の見せ場です」と意気込みを語ってくれた。シーンの合間には、監督から出演者に「今の演技はよかった」「目でしっかり演技できていたから大丈夫」など必ず感想が入り、丁寧な作品作りがうかがえた。

 作られたセットではないため、撮影現場の教室は狭く、監督の席や出演者の待機場所は、教室の外や階段の踊り場。撮影が終わる度に監督が教室に行って、スタッフに指示を送っていた。5月中旬とはいえ、ロケ現場は冷え込み、出番待ちの出演者は大きなコートを羽織って待機していた。

 続いて碓井さん演じる柏木優が波瑠さん演じる祥子を怒らせ、ほおをたたかれるシーンを撮影。波瑠さんは「せりふで言われた通りの普通のリアクションをしてしまうと、祥子ではなくなってしまって。内面に熱いものを持っているんですけれど、見せてはいけないんです。難しいですね」と自分の役について語った。碓井さんは「まず本番でたたかれて……。ビンタは2回ですかね」と笑顔。「僕の役が物語の流れを変えるので、そこに注目してほしいです」とコメントした。

 「マリア様がみてる」は、今野緒雪さん原作、ひびき玲音さん画のライトノベル(集英社)が原作。カトリックの名門で屈指のお嬢様学校「私立リリアン女学園」では、先輩と後輩が「姉妹(スール)」となって、淑女としてのしつけを受け継いでいく。平凡な女子学生の福沢祐巳(未来さん)は、ひょんなことから、あこがれの先輩・小笠原祥子(波瑠さん)から妹になるよう申し入れられる……というストーリー。「ごきげんよう」「お姉さま」など、少女たちが交わす独特の“お嬢様言葉”も話題になった。シリーズ37巻で累計540万部を発行しており、04年からはアニメ化もされた。今回は1巻の内容を中心に実写化する。

 波瑠さんは「原作は小説で始まって、マンガにもアニメにもなりましたが、人間が実写でやったらどうなるんだろうというところで注目してほしいです」と語り「原作のファンは不安に思っているかもしれないですが、私たちは私たちで一生懸命演じています。私たちの『マリア様がみてる』をぜひ見てください」と撮影にかける思いを語った。

 映画は今秋、全国で公開される予定。(毎日新聞デジタル)

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