スーパーダッシュ小説新人賞：５年ぶり大賞２作　うさぎ鍋さんの「うさパン！」と神秋さんの「オワ・ランデ」

　ライトノベルを対象とした集英社の公募新人文学賞「第９回スーパーダッシュ小説新人賞」の大賞に、うさぎ鍋竜之介さん（２２）＝群馬県＝の「うさパン！私立戦車小隊／首なしラビッツ」と神秋昌史さん（２４）＝大阪府＝の「オワ・ランデ～夢魔の貴族は焦らし好き～」が選ばれた。大賞が選出されるのは第６回以来で、２作品が大賞を受賞するのは第４回以来。応募総数は７９９通だった。

ウナギノボリ

解説：新たな“最高峰”を目指したガンプラ　45周年のこだわりとは

　「うさパン！私立戦車小隊／首なしラビッツ」は、魔動板と呼ばれる金属をかむことで、ほぼすべての女性（そして少数の男性）が魔法を使える世界が舞台。戦災によって放浪の身となった少女・ニーナは、泥棒のまねごとをしながら生きながらえる日々を送っていた。無人で活動する野良戦車から街を守る私立戦車小隊、通称・首なしラビッツの隊長は、出会ったニーナがかつて戦車隊に所属していたと知り……というストーリー。選考委員のマンガ家・稲垣理一郎さんは著者を「たまにこういう凄い新人がいる」と評している。

　「オワ・ランデ～夢魔の貴族は焦らし好き～」は、魔術で異世界からサキュバスを召喚してしまった高校生・オズこと佐品直純の物語。幼き日よりエロの素養を育んできたオズは『偽賢者の石』アゾートを用いて、召還した最強の夢魔貴族を意のままに操ろうという試みを敢行する。しかしそれは、自らが操られてしまう可能性のほうが圧倒的に高い、極めて分の悪い賭けだった−−。選考委員の作家・中村航さんは、「このレーベルの大賞として推すにはどうだろうかという設定があるのだが、ラストの辺りを読んで少し泣いてしまった」と語る。

　佳作には、青々さん（３３）＝愛知県＝の「ライトノベルの神さま」、片山禾域さん（３２）＝福島県＝の「二年四組 暴走中！」の２作が選ばれた。選考委員は他に、作家の新井素子さん、作家でアニメプロデューサーの高橋良輔さん、ゲームデザイナーの堀井雄二さん。贈賞式は６月１日、東京都千代田区の如水会館で行われる。（毎日新聞デジタル）