注目映画紹介:「マイ・ブラザー」 傷ついた人間が愛の力で再生していく姿を描く

 「スパイダーマン」で知られるトビー・マグワイアさん、「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」が封切られたばかりのジェイク・ギレンホールさん、さらに「スター・ウォーズ」新3部作などで知られるナタリー・ポートマンさんが共演した米映画「マイ・ブラザー」(ジム・シェリダン監督)が4日に公開された。デンマークの女性監督スザンネ・ビアが04年に製作した「ある愛の風景」を、映画「マイ・レフトフット」などで知られるシェリダン監督がリメークした。

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 アフガニスタンの戦地に赴いたサム(マグワイアさん)の訃報が、妻グレース(ポートマンさん)の元にもたらされる。打ちひしがれるグレースと娘たち。傷ついた彼女たちの心を癒やしたのは、家族から鼻つまみ者扱いされてきた前科者の義弟トミー(ギレンホールさん)だった。ところが、死んだはずのサムが帰って来たことで、家族の間に不協和音が響き始める……。

 シェリダン監督は「この物語は家族の話であり、愛の話。だから『戦争』を別のものに置き換えてもらっても構わない」と話している。つまりこの物語は、なんらかのことが原因で傷ついた人間が、愛の力をもって再生していく姿や、愛によって再生できるのかと問いかける作品であり、美しい妻を2人の男が奪い合うという陳腐なメロドラマではない。サムが生還した後、彼とグレースの娘イザベル(ベイリー・マディソンさん)の存在が物語の多くを占めるようになるが、そこには、娘の存在に焦点を当てることで、家族とは何なのかというテーマを浮かび上がらせようというシェリダン監督の意図が働いている。

 マグワイアさんは、9キロ減量をしてサム役に臨んだという。前半の善き家庭人と、後半のトラウマを抱えた鬼気迫る人間の二つの顔を演じ分け、ゴールデングローブ賞男優賞ノミネートも納得の演技を見せる。一方のギレンホールさんも、不器用ながら大切な人を守ろうとする青年を好演。ポートマンさんもまた、妻でもあり母でもあり女でもあるという複雑な役を見事に演じている。4日からTOHOシネマズみゆき座(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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