1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦め作品を紹介する「はじめの1巻」。今回は、「Jドリーム」などを描いた塀内夏子(へいうち・なつこ)さんが、「週刊ヤングマガジン」(講談社)で連載している「コラソン −サッカー魂−」(580円)です。
ウナギノボリ
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20XX年、日本代表はW杯のアジア最終予選でグループリーグ4位に転落した。名将ヘルマン・ヴィースラーは「全権委任」を条件に代表監督就任を引き受け、FW・戌井凌駕(いぬい・りょうが)を抜てき、サウジアラビア戦に先発で起用する。戌井は、Jリーグを永久追放され南米の2部リーグを回り、どのリーグでも得点王になったが、相手選手への報復もいとわない札付きの男だった。試合でも、アジア屈指のDF2人を相手に体をぶつけて吹き飛ばし、パスを出した司令塔に「ヘタクソ」と“暴言”をはく。ファンからブーイングが……というストーリーだ。
4年に1度の祭典・ワールドカップ開催中! ヤンマガ編集部はサッカーの魅力にどっぷりハマり、眠れぬ毎日を過ごしています。日本がカメルーンに勝利した夜は大いに盛り上がりました! そんな代表戦士たちに勝るとも劣らぬくらいの熱戦が本作「コラソン −サッカー魂−」でも繰り広げられています。
「コラソン」とはポルトガル語で「心」「気持ち」。サッカーではしばしば「魂」という意味で使われます。知性、体力、テクニックetc……。サッカーではどれも大事な要素ですが、ゴールを決めるために、勝利をつかむために一番必要なもの。それはどんな逆境にも負けない強い「気持ち」だ……という視点で本作は描かれています。
主人公はたぐいまれな得点能力と激しすぎる気性を併せ持つ規格外のFW・戌井凌駕。貪欲(どんよく)なまでにゴールだけを狙う凌駕と、勝利を求めてもがく司令塔の中神らが織りなす人間ドラマは見る者の心を熱くさせてくれるはずですッ!
著者はサッカーマンガの決定版「オフサイド」「Jドリーム」の塀内夏子先生! 南アフリカW杯日本代表DF・中澤佑二選手が自ら「オフサイド世代」と語るように、多くのサッカー少年に夢と希望を与えてきた先生が、実に11年ぶりに描くサッカーマンガは必見です!
単純明快なようでいて、人物同士の衝突により生まれる盛り上がりはさすがのうまさ。サッカーマンガの主人公としては珍しいタイプの凌駕ですが、その分「この男ならやってくれる」という頼もしさは満点。やることなすこと規格外で問題児の彼と、やり手で闘志あふれるヘルマン監督が日本サッカー界を揺さぶる姿は見ていて実に爽快(そうかい)です。この熱い男たちにより日本サッカーがどのように生まれ変わるのか、早くその姿を見せてくれ!という期待で胸がいっぱいになること間違いなし。
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