注目映画紹介:「ロストクライム 閃光」 三億円事件の真相は? 負の感情が渦巻く重厚な作品

「ロストクライム 閃光」の一場面。(C)2009「ロストクライム −閃光−」製作委員会
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「ロストクライム 閃光」の一場面。(C)2009「ロストクライム −閃光−」製作委員会

 1968年に起きた三億円事件。犯人を捕まえられないまま時効を迎えた未解決事件が、およそ40年後、一つの殺人事件をきっかけにひもとかれる……ジャーナリスト出身の作家、永瀬隼介さんが書いた小説を基に映画化した「ロストクライム 閃光」が3日、全国で公開された。メガホンをとったのは、東京裁判と東条英機を描いた「プライド・運命の瞬間」(98年)などで知られる伊藤俊也監督だ。

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 およそ40年前に起き、迷宮入りとなった三億円事件と、最近起こった殺人事件。それらがリンクし、真相が暴かれていく。その過程において徐々に明らかになっていく人々の思惑。当時の捜査を悔いるベテラン刑事や容疑者ら事件関係者の悔恨や執念、怨念といった負の感情が折り重なり、重厚なドラマが展開していく。

 奥田瑛二さん、夏八木勲さんら渋い俳優たちによる演技が、作品の重量感を一層強める。渡辺謙さんの息子・渡辺大さんが、奥田さん演じるベテラン刑事の相棒役で出演しているほか、かたせ梨乃さん、宅麻伸さん、原田芳雄さんらベテランが脇を固める。

 三億円事件にまつわる推理には諸説ある中で描かれた今回の映画。事件をリアルタイムで知る人は、特に興味をかきたてられるはずだ。くしくも公開日には、やはり警察を舞台にした人気シリーズの大作が封切られる。いずれも社会や権力に一石を投じる作品だが、ライトな感覚の大作と硬派な仕上がりの今作。見比べるのも一興かもしれない。角川シネマ新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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