ともさかりえ:シングルマザー役「にじみ出るものあった」 映画「ちょんまげぷりん」に出演

中村義洋監督と「面白いと思うものが共有できた」というともさかりえさん
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中村義洋監督と「面白いと思うものが共有できた」というともさかりえさん

 アイドルグループ「NEWS」「関ジャニ∞」の錦戸亮さんが江戸時代から現代にやってきた“ちょんまげ”姿の侍・安兵衛役で主演する映画「ちょんまげぷりん」(中村義洋監督、7月31日公開)。この映画で、安兵衛と出会い、同居することになるシングルマザーを演じたともさかりえさんは、仕事と子育ての両立に悩む等身大の女性を好演している。自身も5歳の息子を育てるシングルマザーでもあり、演技するにあたっては「どうしたって(素の自分が)にじみ出てしまう部分があった」と振り返る。インタビュー2回目は、ともさかさんに撮影中のエピソードや演技についての考え方などを聞いた。(細田尚子/毎日新聞デジタル)

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 「ちょんまげぷりん」は、やんちゃ盛りの一人息子・友也(鈴木福君)の子育てと仕事でてんやわんやの日常を過ごしている遊佐ひろ子(ともさかさん)が、180年前の江戸時代からやってきた着物にちょんまげ姿の侍、木島安兵衛(錦戸さん)と出会うところから物語が始まる。成り行きで遊佐家に居候することになった安兵衛はその見返りに家事全般を引き受けると宣言。現代の男性にはない筋の通った誠実な人柄の安兵衛と家族のように暮らしていたが、プリンをきっかけにお菓子作りに目覚めた安兵衛は、玄人はだしの腕前を身につけ、「手作りケーキコンテスト」に出場することになり、3人のバランスが微妙に崩れ始める……という心のきずなを描いたストーリー。「チーム・バチスタの栄光」(08年)や「ゴールデンスランバー」(10年)を手がけた中村監督の最新作だ。

 ともさかさんは最初にタイトルを聞いて「どんな映画なんだろうって、はてなマークがいっぱいという感じでしたね」と、興味を持って台本を読み進めていった。「あまりにありえない設定だったので、それをいかに説得力をもって進めていけるか。観客と同じ目線にいるのは私の役『ひろ子』だと思うので、私の解釈によって、きっと伝わり方が変わってくるんだろうなと思いました。どこに的を絞っていこうかなと最初は考えました」というが、クランクイン前に入念なリハーサルをする時間がとれ、疑問や悩みは解消したという。

 リハーサルでは、監督がどういうものをやりたいのか、どういう映像を撮りたいのかが明らかになり、「今回、中村監督とご一緒したのは初めてだったんですが、おこがましいかもしれませんけど、私の中で監督と面白いと思うことが共有できたという感覚がつかめたので、すごく信頼感が持てました。(演技は)監督のやりたいものに近づけるという作業になりました」と明かす。

 錦戸さんとは初共演。侍役の錦戸さんは立ち居振る舞いなど演技面の苦労が多そうだったという。「私自身はテレビを全く見ないので、錦戸さんがどういう活動をされているのか知らなくて。幼稚園のお母さんたちに共演することを話したら、『えっ、すごい!』って食いつきがよかったので(笑い)、そういう人(アイドル)なんだと思いました。でも、あまり先入観なく共演することができましたね。私も昔から『金田一少年の事件簿』などで(堂本)剛君とかいろんな方と共演させていただいてますけど、錦戸さんはジャニーズらしからぬ、といってはなんですけど、本当に素朴で飾らない方でした」と振り返る。

 子役の鈴木君については「通常、子役の子と演技をするときって、目線を合わせてあげて、どうくるかわからないような危なっかしい感じになっても対応できる状態にしなきゃ、という心構えをいつもしているんですけど、今回の福ちゃんはスーパープロフェッショナルだったので、そんなこと微塵(みじん)も必要なかったですね。対等だったというか、今回はすごく福ちゃんに助けられました」と演技を絶賛する。「スタッフもみんな『福ちゃん、可愛いな』って、現場のムードメーカーになっていました。普段は全然スレたところがなくて、本当に子どもらしい、とにかく可愛い子です」と本当の母親のような表情で目を細める。

 自身と同じシングルマザーという役柄については「同じ母親役といっても、あまり自分の生活とすりよせて演じることは基本的にはしない、そこはしたくないと思っているんですけど、ただ、どうしてもにじみ出てしまう部分があると思うんですよね」といい、「今回の役も、母親って自分の子どものことを信頼しているから、親子の共通の暗黙のルールというか、そういうものが自然に漂って、リアリティーのあるシーンにつながればいいなと思ってやってました」と親子の雰囲気作りを心がけた。映画については「タイトルの響きから連想されるイメージをいい意味で裏切ってくれる」とアピールし、「いろんな世代の人がいろんな形で感情移入できると思う。ぜひ劇場で見てほしいです」と呼びかけた。

 10年後はどうなっていると思うかと聞くと、「10年前に今のこの状況を全く想定できていなかったので、予測しても無駄だなと思うから、それより今考えた方がいいことに時間を費やして、努力していきたいと思います。仕事のことも子どものことも、自分の生活のことも、今こうして大切だと思っていることが、10年後も地続きであったらそれは幸せですね」と笑顔で語った。

 次回(16日掲載予定)は、「日常生活と切り離される感じが好き」というオフの過ごし方や生き方について聞く。

 <プロフィル>

 1979年10月12日、東京都出身。スカウトされ、92年にトヨタ自動車のCMでデビュー。95年に堂本剛さん主演のドラマ「金田一少年の事件簿」(日本テレビ系)にヒロイン役に抜てきされた。最近では08年のNHK大河ドラマ「篤姫」をはじめ、09年に「東京DOGS」(フジテレビ系)、「絶対零度~未解決事件特命捜査」(同)、6日にスタートしたNHKの「天使のわけまえ」や9月スタートのNHK連続テレビ小説「てっぱん」に出演。映画は、96年に「友子の場合」で主演デビューしたのを皮切りに、97年の「金田一少年の事件簿 上海魚人伝説」ではヒロイン役を務め、09年には「いけちゃんとぼく」に出演した。恵比寿ガーデンシネマ(東京都渋谷区)ほかで31日公開の「ちょんまげぷりん」では、江戸時代の侍と遭遇し、現代社会で一緒に暮らすことになるシングルマザー役を熱演。公開待機作に「アブラクサスの祭」がある。03年に結婚し、04年10月に男児を出産。08年にブログで離婚を発表している。

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