1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦め作品を紹介する「はじめの1巻」。今回は、精神科医ゆうきゆうさん(原作)と、ソウさん(作画)のコンビが「月刊ヤングキング」(少年画報社)で連載している「マンガで分かる心療内科」(680円)です。
ウナギノボリ
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うつや認知症など心療内科の病気をテーマに、臨床心理士の療とナースのあすなの凸凹コンビが、互いにボケとツッコミを展開、病について解説しているというギャグタッチのマンガだ。作者のゆうきゆうさんは東大卒の現役医師で、連載したマンガをウェブでほぼ公開しているのも話題になっている。
「心療内科は自分には縁のないところ」と思っている人は多いのではないでしょうか。そんな人でも「このマンガを読んだら心療内科のイメージが変わった」。そんなふうに言います。
精神疾患は、なかなかマンガでは扱うことが難しいテーマでした。また、扱ったとしても、重苦しく深刻な内容になりがちでした。しかし「マンガで分かる心療内科」はこれまでのイメージをくつがえす明るい作風で、精神疾患をテーマにしながらも、楽しく読める新感覚マンガです。発売すぐに予想以上の反響をいただき、思った以上に世間の関心が高かったことを実感しています。私自身もメンタルで悩んでいる身近な人に「もっと早く受診をすすめてあげればよかった」と後悔したことがありました。関心はあるけれど、なかなか知るきっかけがない……そういう人は多いのではないでしょうか。
「マンガで分かる心療内科」第1巻では、看護師のあすなが暴走気味のボケを放ち、臨床心理士の療が激しくツッコむ……というギャグを交えつつ、うつ病、ED、幻聴、認知症、小児性愛、女性化願望など、さまざまな症例、症状を自己診断テストつきでやさしく解説してくれています。心療内科×ギャグマンガ……この異色の組み合わせは、実際に医療現場に立つ原作者・精神科医ゆうきゆうさんの前向きな姿勢とユーモア、それを表現してくれるソウさんの読みやすくキレイな作画があってこそ形になったものでしょう。
ゆうきさんとソウさんの制作過程ですが、まず(1)メールで詳細なト書きつきの台本をゆうきさんからいただく(2)台本をもとにコマを割ったラフ画をソウさんからいただく(3)ゆうきさんの意見を聞きつつ微調整……という流れです。ゆうきさんいわく「イメージとズレている」ということがほぼなく、いつも言葉からイメージする絵が一致しているそうです。ゆうきさんは、この制作過程を「激しく連想ゲーム」と言い表しています。息ぴったりのコンビによる心療内科ギャグマンガ読んでみてください。
この推薦文を書いているときに、上司から「思いっきり攻めてください」と言われました。私のように頭が良くてまじめな人間には、うつになりそうなほどのプレッシャーです。……と冗談はさておき。この1冊、心療内科へのイメージや考え方が変わります。うつも笑いにできるんです! ギャグになったからといって決してふまじめではなく勉強にももちろんなります。ですが、メガネ白衣の青年が、底意地の悪い美少女になじられるさまも楽しめちゃう1冊です(笑い)。
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