注目原作紹介:「ハガネの女」最新刊では6年生に進級、中学受験がテーマに

「ハガネの女」1巻の表紙
1 / 1
「ハガネの女」1巻の表紙

 ドラマやアニメ、映画化などで話題となったマンガや小説などの原作を紹介する注目原作紹介。テレビ朝日系で5~7月に吉瀬美智子さん初主演でドラマ化された「ハガネの女」は、マンガ誌「YOU」(集英社)で深谷かほるさんが連載中の同名マンガが原作。35歳独身で公立小学校臨時教師の羽賀稲子、通称「ハガネ」が、問題の多いクラスの担任となり、どんな困難な問題にぶつかってもくじけない「ハガネの女」として、子どもたちの問題やモンスターペアレンツらに正面から挑む姿を描いたヒューマン・エンターテインメント作だ。

ウナギノボリ

 原作者の深谷さんは62年、福島県出身。87年に「プチフラワー」(小学館、02年に休刊)に掲載された「毎日が日曜日」でマンガ家としてデビューした。代表作は「エデンの東北」(竹書房)や「カンナさーん!」(集英社)で、「ドタ婚式」(竹書房)では自身の結婚式のドタバタエピソードをエッセーマンガに仕立てている。

 「ハガネの女」は07年から連載を開始し、コミックは7巻まで発売されている。稲子は前任の小学校を寿退社したが式直前に婚約を破棄され、大学時代に剣道部でともに汗を流した先崎に誘われ、先崎が勤務する公立小学校の臨時教師として、問題のあるクラスを受け持つことになる。悪いことは悪い、理不尽なことを許さず、はっきりものを言う性格の稲子は、児童にバットでなぐりかかられたり、給食のカレーに“ぞうきん汁”を入れられながらも、子どもたちの抱えるさまざまな問題に、決してあきらめずに正面から立ち向かい、解決しようとする姿が描かれている。

 ドラマでは、ハガネが受け持つクラスの生徒で、優等生だが家庭に問題を抱える中野愛梨役に人気子役の大橋のぞみさん、その母で有名作家役に横山めぐみさん、稲子を助ける同僚・先崎役でお笑いコンビ「バナナマン」の設楽統さん、臨時教師の同僚役で清水ミチコさんらが出演。主題歌にはケツメイシの「仲間」が起用され、初回と第3回には平均視聴率12.7%を記録し、深夜帯(毎週木曜午後11時15分)では高い視聴率を誇った。(全7話のドラマは4枚組みDVDボックス1万3965円で11月17日発売)

 ドラマは大筋では原作の設定やストーリーを変えていない。ただ原作にはない人物として、要潤さんが演じた副担任・塩田と稲子の恋愛に2人の間を取り持つキューピッドのような役割で、稲子の元教え子で高校を中退して洋食屋に務める西堀マナ(有村架純さん)が登場した。マナはドラマの最終回でクラスの子どもたちの前で「これからの人生」について感動的なスピーチをする重要な役割を演じた。

 ドラマで描かれたのは4年生の1学期のみだが、原作は4年生で始まり、7巻では6年生に進級し、中学受験の悲喜こもごもが描かれている。クラスにその後どういう問題が巻き起こり、ハガネはどう立ち向かっていくのか、塩田との恋愛はどうなるのか? ドラマのその後が原作で楽しめるのもドラマ化作品の楽しみ方の一つだ。(毎日新聞デジタル)

マンガ 最新記事

MAiDiGiTV 動画