「シックス・センス」(99年)や「アンブレイカブル」(00年)、「サイン」(02年)などで知られるM・ナイト・シャマラン監督の最新作「エアベンダー」が、17日全国公開された。作品のPRのためシャマラン監督らと来日したウォーターベンダーの少女カタラ役のニコラ・ペルツさんとカタラの兄サカ役のジャクソン・ラスボーンさんに話を聞いた。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
あなたにオススメ
“あの頃”のジャンプ:実写ドラマ化も話題「ウイングマン」 1983年を振り返る
気、水、土、火の四つの王国によって保たれていた世界の均衡が、火の国の反乱によって崩れて100年。それぞれの国には、気、水、土、火を操る“ベンダー”がおり、四つすべてを操れるベンダー、すなわち“アバター”が、世界に調和をもたらすとされていた。気の国の“エアベンダー”である12歳のアン(ノア・リンガーさん)は、アバターに選ばれたものの、その重責に耐えられず逃げ出した過去があった。しかし、100年の眠りから覚め、荒廃した世界を目の当たりにした彼は、今度こそアバターになる決意をし、修行の旅に出る。その旅に同行するのが、水の国の“ウォーターベンダー”の少女カタラとその兄サカであり、2人を演じているのがニコラさんとジャクソンさんだ。
ニコラさんは、映画出演は今作でまだ3本目(うち2本は日本未公開)と少ないが、舞台に立った経験があり、その演技力は折り紙つき。一方のジャクソンさんは、大ヒットしたファンタジー映画「トワイライト」シリーズでのジャスパー・ヘイル役で知られている。
「エアベンダー」の原案は、米国で05~08年に放送され、エミー賞などを受賞した人気アニメ。その映画化への出演ということで、ニコラさんとジャクソンさん、2人のプレッシャーは並大抵のものではないと推察されるが、当のジャクソンさんは「オリジナルにはもちろん敬意を払う」としながら、「僕たちが演じることは、新たな息吹をそのキャラクターに吹き込むことでもあります」、ニコラさんも「自分なりのカタラを表現できるように努めました」と、気負った様子はまったくない。
今回のキャスティングには、ジャクソンさんいわく「シャマラン監督は各キャラクターを体現できる役者を起用するという意図が働いていた」。その証拠にジャクソンさんが、「ニコラは大きな心の持ち主で、すてきな家族を持ち、彼らを愛し尊敬している。4人の兄とアイスホッケーをして育ち、その点でも強い女性。カタラ役には完ぺきな選択」と評すれば、ニコラさんも「ジャクソンは愛情深いサカにとてもよく似ている」と笑顔で応対。さらにジャクソンさんが補足する。「今回のキャスティングには2年半から3年ほどかかっている。僕自身、最初は(火の国の)ズーコ王子の役だったけれど、その後、半年から1年たってサカの役に変わったんだ」。ズーコ王子を演じているのは、「スラムドッグ$ミリオネア」のデヴ・パテルさんだ。
ジャクソンさん、ニコラさんともにアクションのトレーニングにも力を注いだ。ニコラさんはもともとアイスホッケーが得意なだけあって身体能力が優れており、しかも2年ほど前まではクラシックバレエもやっていた。「バレエの経験は、(映画の中で使う)太極拳の動きにとても役立ちました」と振り返る。
一方のジャクソンさんは、「2年前の1月からカンフーや棒を使った格闘技の訓練を積んだ」というが、「いろんなアクションシーンを撮ったけれど、そのほとんどは使われなかったんだ。(DVDなどの)映像特典で使ってもらえることを願うよ」とちょっぴり残念そう。また、ブーメランを操るシーンもあるが、それについては、「実際のところブーメランが僕の手から離れることはなかったんだ。僕は投げるふりとつかむふりをしただけ。だけど、ジョージ・ルーカス監督が率いる(視覚効果プロダクションの)ILMの素晴らしいマジックのお陰で、とてもカッコよく見えると思うよ」と茶目っ気たっぷりにILMの功績をたたえた。
PRのために来日したが滞在日数はわずか2日間。その間にジャパンプレミアでの舞台あいさつやマスコミのインタビューをこなし、ほとんど休みがない状態だという。その疲れからか、言葉少なになりがちなニコラさんを、ジャクソンさんは笑顔と弁舌さわやかに巧みにフォローしていた。そんな彼らに「ジャクソンさんとサカ、ニコラさんとカタラ、兄あるいは妹にするならどちらがいい?」と2人に質問したところ、隣でジャクソンさんがポーズをとりながら“無言の圧力”をかけたとはいえ、ニコラは「もちろんジャクソン」。するとジャクソンさんも、「(ニコラとカタラ)2人ともいいけど、選ぶとしたらやっぱり生身のニコラだね」と仲のよいところを見せていた。
最後に「観客にメッセージを」と水を向けると、ニコラさんは、「『エアベンダー』は、元の(アニメ)作品は日本では知られていないとのことですが、私たちは宮崎駿監督の作品が大好き。内容が宮崎アニメに共通するところがあるので、きっとみなさんに楽しんでいただけると思います」。ジャクソンさんは「みなさんがこの記事を読んでくださること、マスコミの方々が僕たちにまでインタビューしてくださることを大変光栄に思う」と“兄らしく”日本のファンとマスメディアに感謝の意を表し、「自分たちが芸術作品の一部になれ、その作品を世界中の人々に楽しんでいただけることが、アーティスト(表現者)にとっての一番の贈りもの。ですから、みなさんに楽しんでいただけたら、それに勝る喜びはありません」と締めくくった。ちなみに、ニコラさんの好きな宮崎アニメは「千と千尋の神隠し」。ジャクソンさんは「『千と千尋の神隠し』もいいけど、僕が最初に好きになったのは『もののけ姫』」と話していた。
<ニコラ・ペルツさんのプロフィル>
94年米ニューヨーク出身。映画デビュー作は、ダニー・デビート、マシュー・ブロデリック共演の「ライトアップ! イルミネーション大戦争」(06年、日本未公開)。その後、「ハロルド」(08年、日本未公開)を経て、今回の「エアベンダー」のカタラ役に抜てきされた。また、マンハッタン・シアター・クラブで上演されたオリヴィエ賞受賞作「ブラックバード」に出演した経験がある。今後の活躍が期待される若手女優。
<ジャクソン・ラスボーンさんのプロフィル>
84年、シンガポール生まれ。父親の仕事の関係で、子ども時代をインドネシアや英国、米国、ノルウェーなどで暮らした。演劇学校インターロチェン・アーツ・アカデミー卒業後、インタビュー番組「ディズニー411」に出演。その後、CMや「The OC」シーズン3(05~06年)、「イリュージョン・ホテル」(06年、日本未公開)などに出演。ホームドラマ「ビューティフル・ピープル~ニューヨークの天使たち」(05~06年)にレギュラー出演。日本でその存在を知らしめたのは、「トワイライト~初恋」(08年)、「ニュームーン~トワイライト・サーガ」(09年)における美貌(びぼう)のバンパイア、ジャスパー・ヘイル役。シリーズ第3弾「エクリプス~トワイライト・サーガ」が今年、日本公開を控える。監督業にも興味があり、自らプロダクションを設立した。作曲もこなし音楽活動もするなど多才。
通算31作目となる「ゴジラ」の新作映画が製作されることが11月1日、明らかになった。同日、日本テレビ系で放送された「ゴジラ-1.0」(山崎貴監督)の放送後に発表されたもので、監督…
俳優の松重豊さんが、主演の人気ドラマ「孤独のグルメ」(テレビ東京系)を監督・脚本も務めて映画化する「劇映画 孤独のグルメ」(2025年1月10日公開)の主題歌を、ロックバンド「ザ…
10月28日に発表された25~27日の映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)によると、山田風太郎さんのファンタジー小説を俳優の役所広司さん主演で映画化した「八犬伝」(曽利文彦監…
ディズニー・アニメーション・スタジオの最新作「モアナと伝説の海2」(12月6日公開、デイブ・デリック・ジュニア監督ほか)の日本版でモアナの声優を務める屋比久知奈さんが10月29日…
ディズニー・アニメーション・スタジオの最新作「モアナと伝説の海2」(12月6日公開、デイブ・デリック・ジュニア監督)の日本版でモアナの声優を務める屋比久知奈さんが歌う劇中歌「ビヨ…