注目映画紹介:「ヒックとドラゴン」 少年とドラゴンの物語 本当に驚く終盤の予想外の展開

「ヒックとドラゴン」の一場面。(C)2009 by PARAMOUNT PICTURES.All Rights Reserved.
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「ヒックとドラゴン」の一場面。(C)2009 by PARAMOUNT PICTURES.All Rights Reserved.

 「シュレック」シリーズ(01年~)や「カンフー・パンダ」(08年)などを製作したドリームワークスの最新作「ヒックとドラゴン」が7日に全国で公開される。英国人作家クレシッダ・コーウェルさんの児童書を基に、映画「リロ&スティッチ」(02年)のクリス・サンダースさんとディーン・デュボアさんが、今回もコンビで脚本と監督を務めた。児童書が原作のアニメだが、“子ども向けの映画”とあなどれない仕上がりになっている。

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 バイキングの族長を父に持ちながら、体が小さく頭脳派のヒックは、同じ年ごろの子どもたちの間でも浮いた存在。ある日、彼は、傷つき飛べなくなったドラゴンを見つける。ドラゴンは、バイキングたちにとっては天敵。しかしヒックは、そのドラゴンをトゥースと名づけ、食物と“新しい翼”を与え、友情を築いていく。それが、一族とドラゴンの関係に大きな影響を与えることになるとも知らず……というストーリー。

 まず、トゥースの表情の豊かさに驚き、感動する。恐怖や怒りを感じたときの瞳は、昼間のネコのそれのように細く、喜んだり、安心したりするとつぶらになる。トゥースのみならず他に登場するドラゴンたちも、容姿は無格好ながら愛敬がある。

 また、ヒックが左利きという設定と、終盤に待ち受ける予想外の展開(宣伝文句でよく使われる言葉だが、今作は本当に驚いた)には、深いメッセージが込められている。今は、“普通でないこと”を個性ととらえる時代。弱虫で変わり者と見られていたヒックは、今回の出来事によって、一層特別な人間になる。“努力次第でなんとでもなれる”……そんなメッセージもこの映画は説いている。

 ヒックの声を担当しているのは、まもなく公開される映画「魔法使いの弟子」の主演を務めているジェイ・バルチェルさん。ヒックの父には、撮影中の「バウンティー・ハンター」や「300<スリーハンドレッド>」(07年)のジェラルド・バトラーさん。ヒックがあこがれるバイキングの少女アスティには、米人気テレビシリーズ「アグリー・ベティ」(06年~)のアメリカ・フェレーラさん。ドラゴンが空を舞うシーンが多く登場する。2D(二次元)上映でも十分楽しめるが、疾走感、臨場感をより強く味わいたいなら3D(三次元)での観賞をおすすめする。7日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で順次公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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