観光客でにぎわう韓国・釜山(プサン)の海水浴場ヘウンデに、高さ100メートル、時速800キロのメガ津波が襲い掛かる! 津波の脅威を見せつけながらも、逃げ惑う人々の人間模様を丁寧に描いたことで、単なる自然災害映画にとどまらない作品と支持された結果、韓国では歴代4位の興行成績を記録したパニック映画「TSUNAMI ツナミ」(ユン・ジェギュン監督)が25日、全国で公開された。
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04年、東南アジアを襲った大型津波。当時、ヘウンデにいたユン監督が、もしここに津波が押し寄せたら?と想像したことが、発想の発端になったという。韓国は地震が少ないらしいが、そこで暮らす人間が考えついた大災害映画は、“超”が付くほどの大型津波が押し寄せ、高層ビルもろとも、車も人も濁流にのみ込まれていく……。
「日本沈没」「2012」「パーフェクトストーム」さらに「海猿」……それらを合体させたような作品というと言い過ぎか。そこに、アジア人ならではの人情をまぶした。津波という自然災害の中に放り込まれた人々……父の死のわだかまりを抱えているカップル、離婚した夫婦、父親を知らない子ども、海洋救助隊員と、彼に一目ぼれした浪人生、さらに、無職で母親泣かせの中年男。それぞれの行動を追いながら、すでに家庭が崩壊している彼らが津波によって再びきずなを取り戻す様子を描いている。
ハリウッドお得意のパニック映画にありがちな“ヒーロー”は登場しない。市井の人々に照準を当て、彼らのドラマをつむいでいく。その半面でCG(コンピューターグラフィックス)を駆使したメガ津波が押し寄せる場面は、アジア映画ながらもハリウッドに引けを取らず、人も建造物も流されていく光景にあぜんとさせられる。
韓国映画とはいえ際立ったイケメン俳優が出演していない点で、女性客にとっての見どころは少ないといえる。しかし、イケメンではない人々が活躍するところがこの映画の見どころでもあり、男性客は共感できるのではないか。アイドルグループ「AKB48」が日本語吹き替え版のエンディングテーマ「あなたがいてくれたから」を担当した。25日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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