吉瀬美智子さんと阿部寛さん主演で仏映画の名作をリメークした「死刑台のエレベーター」(緒方明監督)の完成披露試写会が30日、ZEPP TOKYO(東京都江東区)であり、吉瀬さんと阿部さん、オリジナル版のルイ・マル監督の息子のマニュエル・マルさんらがレッドカーペットに登場した。フランスの名女優が演じた悪女に挑戦した吉瀬さんは「私が演じた芽衣子は愛に忠実。悪女とは私は思いませんが、覚悟を決めた女性の潔さ、強さを演じられた。横浜で撮りましたが、フランスに負けない世界観が作れたと思います」と自信の笑顔を見せた。
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映画は、社長夫人のフロランス(ジャンヌ・モローさん)が若い愛人に夫の殺害を依頼。しかしその後愛人がエレベーターに閉じ込められ、完全犯罪の計画が崩れていく……というサスペンス。1957年に公開され、夜の街をさまようモローさんの魅惑的な演技と、ジャズトランペッターのマイルス・デービスの即興演奏、手持ちカメラによる撮影で緊迫した臨場感を演出し、ヌーベルバーグの傑作と言われた。リメーク版では、吉瀬さん演じる医療グループの社長夫人・芽衣子が、阿部さん演じる魅力的な医師・時籐と不倫関係になり、年の離れた夫を自殺に見せかけ殺害して逃亡しようと企てる……というストーリー。ほかに玉山鉄二さんや北川景子さんらが出演している。
阿部さんは「原作とかけ離れた日本でやることに意味がある。緒方監督は、敬意を示しながら見事にやってくれた」と興奮気味に語り、エレベーターのシーンに「長時間の舞台の後で、身も心もボロボロな時に撮影できた。これまで極限状態に陥った役はなかった」と振り返った。
イベントでは、マルさんがオリジナル版と同じ57年もののワイン「シャトー・マルゴー」を振る舞い、「大変驚きました。作品はオリジナルに忠実でありモダン。リメークされてうれしい」と評し、「吉瀬さんは、知的で、破滅的な感じをよく表現していた。阿部さんは圧倒的な演技力で打ちのめされた」と2人の演技も絶賛した。緒方監督は「前作を見た方の厳しい目もあると思うので、小心者の私としてはドキドキ。先ほどマルさんの奥さんに『面白かったよ』と言われた時、初めてほっとした。当時25歳の監督が作った映画を、今50歳の私が撮るというのは、実験的だしスリリングなチャレンジだった」と話していた。映画は10月9日から全国公開。(毎日新聞デジタル)
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