1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、いじめに遭っている少女が野球を通じて人の思いを知り、自分に向き合っていく石田敦子さんの「球場ラヴァーズ−私が野球に行く理由−」(560円)です。
ウナギノボリ
10年前の朝ドラ「花子とアン」 当時の吉高由里子インタビュー
いじめに遭い、追い詰められていた女子高生の松田実央は、励ましてくれた人を裏切ったことを後悔し、「赤い帽子の人」と野球のチケットを手掛かりに野球場へ足を運んだ。野球をまったく知らない少女は、カープファンと知り合い、32歳の若さで亡くなった津田恒実投手のエピソードを聞かされたり、球団創設から初優勝まで26年待ち続けた老夫婦と出会うなど、さまざまな人の思いに触れ、自らの境遇に立ち向かう。野球マンガだが、選手はほぼ登場せず、ファンの視点で描かれている。
野球を題材にしながら、野球選手のプレーがほぼ出てこない……たまには、そんないっぷう変わった野球マンガはいかがでしょうか? 広島出身の石田先生が、幼き日よりその身の内にためた広島東洋カープへの愛を、これでもかと出し切った「カープ応援マンガ」の第1巻が発売になりました。
主人公の実央は、女子高生。訳も聞かず、自分に親切にしてくれた「赤い帽子の人」を捜すため、唯一の手掛かりである野球のチケットを握りしめ東京ドームへ。するとそこは、広島東洋カープのファンに埋め尽くされた真っ赤な応援席だった! 野球素人の実央は、そこで広島ファンの女子2人と出会い、少しずつ成長していきますが、実は担当である私もまったくの野球素人でした。チケット1枚買うのも「ビジターってなに?」という状況で、取材の際に相手チームのチケットを間違って買ってしまうなど、石田さんにご迷惑のかけ通しでした。
しかし、今では毎晩スポーツニュースを見ながら悪態をついたり手をたたいたりすることが日課になっています。広島ファン、野球ファンはもちろん、私のような「野球って、地味でつまんない」なんて人に、「球場に行ってみようかな」と思ってもらえれば幸いです!
野球のチームを応援する女性たちの話……という独特の切り口に驚きました。ナイーブで繊細なドラマと登場人物により語られる広島カープの姿とが重なりあい「こんなすてきな球団なら、本当に彼女たちのように救われた人たちがいたんだろうな」と思わせてくれるようでした。応援しているチームから勇気や元気を分けてもらえるほど、心から大好きなものがあるっていうのはこんなにもうらやましいものなんですね。あとスポーツ好きの女性ってなんでこんなにかっこいいんでしょうね。
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