ちょいトレ英会話:オンラインゲーム会社が教育現場に進出 英語必修化を前に異色の取り組み

新潟県糸魚川市の市立大和川小学校での出張授業の様子
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新潟県糸魚川市の市立大和川小学校での出張授業の様子

 11年春からの小学校英語必修化を前に、オンラインゲーム会社のハンビットユビキタスエンターテインメントが、ゲーム風の英会話ソフト「ちょいトレ英会話」(http://ce.hanbitstation.jp/intro/101026/index.asp)を知ってもらおうと小学校の出張授業を実施したり、ソフトを使う時に必要なPC用のイヤホン付きマイクを教育機関に無償で配布するなど、ユニークな活動に取り組んでいる。

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 「ちょいトレ英会話」は、PC用の英会話学習サービス。韓国ではサービス2年目で10万人が利用しており、09年12月には「韓国国際ゲームカンファランスアワード」のビジネス部門で大賞を受賞している。ゲーム風の画面でドラマのようなストーリー展開に合わせ、キャラクターとの会話を楽しむシーンと、80~90年代に朝の情報番組「ズームイン朝!」(日本テレビ系)の「ワンポイント英会話」コーナーで人気を博したウィッキーさんが講義する動画などがある。市販のイヤホン付きマイクを使い、ゲームだけでなく、ネイティブの講師や英会話の利用者相互で実際の会話が楽しめる。小学生レベルの英会話から、旅行、ビジネスなど複数のコースを用意している。ソフトのダウンロードは無料で、月額3000円で利用できる(12月28日までは無料サービス中)。

 英語は小学生ばかりでなく、一部の大手企業が社内で“公用化”するなど、ビジネスマンも含めますます求められている。そんな中、オンライン事業部の土屋宙之さんは「英語をしゃべるには、周囲に英語を使える人がいる環境が必要で、日本人はシャイな面もあるから語学の学校に行くのもハードルが高かった。ですが今は違います。インターネットやパソコンを活用すれば、全国どこでも簡単にそういう環境が再現できるのです」と話す。同ソフトは、独自開発のゲームエンジンで発音のチェックをするなど、ゲーム会社の開発ソフトらしくコンピューターの利点が十分に生かされている。

 ハンビットは11月5日に新潟県糸魚川市の市立大和川小学校で、「ちょいトレ英会話」を使った出張授業を行い、6年生33人が授業を受けた。生徒たちは、英会話ソフトを使ったゲーム感覚の授業に熱中し、授業終了後にもソフトの利用方法を質問するなど、大きな関心を持った様子といい、子供たちから「英語が少し好きになりました」などとお礼の手紙が寄せられた。土屋さんは「普通の授業だと先生の後について英語を発音するだけだが、ソフトは自分の発音が点数になるのが受けていた。隣で見ている子も、友達の結果を見て工夫していた」と手応えを感じた様子。

 ただ、教育現場で使うには新たな課題も出ている。何台ものPCにインストールする作業とそのサポートを誰がどのようにするのか。また、使うPCの台数に応じた料金のため、何台ものPCで利用する場合の料金設定をどうするか。PC用のイヤホン付きマイクの存在を知らないためどこで購入するか分からない……などの意見も出た。教育現場で英会話ソフトを使ってもらうには、通常のオンラインゲームとは違い、PCの基礎知識がない人にも使ってもらえるようにさまざまな配慮が必要だ。そこで、ハンビットは12月3~10日、イヤホン付きマイクを全国の学校、学習塾、教育機関に無償で提供すると発表。料金の問題はライセンス契約を結んで価格を抑えるという考えもあるといい、小学校の出張授業なども問い合わせがあれば、前向きに検討するという。

 課題が浮き彫りとなったが、土屋さんは「『ちょいトレ英会話』は、文法、語彙(ごい)を取り払い、英語を話すことに特化している。飽きさせないゲーム作りなど、オンラインゲームで得た運営ノウハウが生きている」と従来の英会話ソフトにはない魅力と特徴をアピールすることで教育現場への浸透を目指している。オンラインゲーム会社が手掛ける新たな英語サービスの行方に注目だ。(毎日新聞デジタル)

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