1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、相撲の裏方を主人公にした中村明日美子(あすみこ)さんのラブコメ「呼出し一」(講談社)です。
ウナギノボリ
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高3の塚地一(ハジメ)は、高1の彼女ができ、幸せの絶頂だったが、相撲オタクの両親から「呼出し」になることを勧められる。もちろん猛反発するハジメだが、両親はどこ吹く風。そんなある日、ハジメは、倒れた祖父の元へ行く両親の代わりに両国国技館に行くことになる。初デートの時間をずらしてまで訪れた国技館で、相撲を間近で見たハジメの心は動く……というストーリーだ。
中村明日美子さんは美しく繊細な絵で知られる作家さんですが、実はかなりの相撲好き。
そんな中村さんの相撲愛は、「呼出し」さんのきりっとした表情、迫力ある取組シーン、国技館によくいる相撲好きなお客さんの描写などいたるところに表れています。そしてお話を魅力的にしているのが青春度の高さ。それまで全く相撲に興味がなかったイマドキの男の子である主人公・ハジメが、徐々に相撲の魅力に引かれていくところは、何かに夢中になったことがある人なら必ずわくわくするはず。もちろん数々の胸キュンシーンを描かれてきた中村さんですから、初めてできた彼女との甘酸っぱいシーンも見逃せません。
日本の国技である相撲については多少知っていても、「呼出し」という名前を聞いてピンと来る方はそうそういないと思います。相撲の取組の前に「に~ぃしぃ~○○山、ひがぁ~しぃ~××谷」って力士の名前を呼び上げる人だよ、と説明しても「それって行司さんでしょ?」と言われることがほとんど。まさに知られざる職業な「呼出し」さんですが、知ってみると本当に奥が深くて面白い世界です。その詳細は「呼出し一」でお確かめください。そして相撲って面白そうだなと少しでも思ったら、ぜひ国技館へ!
個人的に相撲には全く詳しくなかったので「呼出し」という職業には正直ピンときませんでした。しかし詳しくないからこそ逆に、初めて知る魅力的な描写の数々に心しまいます。「スモーなんか」と言いながらも心の奥底から何か熱い感情がわき出し始めたハジメと同じように。耽美な作風で人気の中村明日美子さんが青年誌のモーニングで連載、しかも「相撲」を描くということには驚きました。あの繊細な絵柄で相撲という力強い題材がどう描かれているのか、ぜひお確かめください!
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