注目映画紹介:「最後の忠臣蔵」 役所広司と佐藤浩市 名優の抑えた演技で描く赤穂浪士の真実

映画の一場面 (C)2010「最後の忠臣蔵」製作委員会
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映画の一場面 (C)2010「最後の忠臣蔵」製作委員会

 主君・浅野内匠頭のあだ討ちを果たした大石内蔵助ら赤穂浪士四十七士。討ち入り直前に出奔した男と、切腹せずに生き残った唯一の生き残りの浪士。死ぬことを許されなかった2人の男の16年後をつづったのが「最後の忠臣蔵」(杉田成道監督)だ。

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 四十七士の寺坂吉右衛門(佐藤浩市さん)は、吉良上野之介を討ち果たした後、内蔵助から討ち入りの真実を後世に伝え、また浪士の遺族を援助する使命を与えられた。16年後、四十七士の十七回忌法要に参列するため、京を訪れた吉右衛門は、討ち入り前夜に姿を消した内蔵助の家士、瀬尾孫左衛門(役所広司さん)と再会する。孫左衛門は内蔵助の隠し子を育て上げる密名を受け、京の山里に隠れ、可音(桜庭ななみさん)を美しい娘に育て上げていた……。

 佐藤さんと役所さんは本格的な共演は今回が初めて。役所さんが、自分を慕う可音の思いに応えてやれない孫左衛門の切ない胸の内を、みすぼらしい風貌と執事のようなかいがいしさの奥からのぞかせれば、佐藤さんも、名誉の死を許されなかった吉右衛門の苦悩を、抑えた演技で表現する。可音役の桜庭さんと、ひたむきな孫左衛門をひそかに支える女性・ゆうを演じる安田成美さんも、ほんのりとした色気を漂わせ、作品に華を添える。

 原作は、池宮彰一郎さんによる時代小説。脚本は、「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ」(09年)の田中陽造さん。ドラマ「北の国」からシリーズで知られる演出家・杉田さんが監督を務めた。18日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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