名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、女の子になりたい男の子と、男の子になりたい女の子をテーマにした志村貴子さんの「放浪息子」です。11年1月からフジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」でテレビアニメが放送予定のマンガについて、コミックビーム編集部の藤井修さんに作品の魅力を聞きました。
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−−この作品の魅力は?
「女の子になりたい男の子」二鳥修一くんと、「男の子になりたい女の子」高槻よしのさん。「女装したい」「男装したい」というお互いの秘密を共有するうちに、親しくなっていく2人ですが、さまざまな人間関係に悩み、傷つきながら、小学生から中学生へと成長していきます。二鳥くんは、女の子になりたいけどなれない……かといって男の子を好きになるわけではなく、女の子を好きになる。高槻さんもそうですが、この葛藤が作品の主軸であって、今話題の「男の娘」モノとも違います。
思春期をさまよう少年と少女の揺れる心情を、志村貴子さんが細やかに描いています。絵が良いのはもちろんですが、モノローグを含め、胸に刺さってくるセリフの妙! 千葉さおり、佐々かなこ、末広安那ほか、メーンの2人をしのぐほど人気がある、サブキャラクターたちも見どころです。
−−作品が生まれたきっかけは?
前作「敷居の住人」終了から3カ月ほどたって、志村さんから送られてきたファクス。そこには、すでに完成されたといっていい二鳥くんと高槻さんのキャラクターが描かれていました。すでに他誌で「どうにかなる日々」「ラヴ・バズ」の2本がスタートしており、キャパシティー的に不安はありましたが、文字で詳細に書かれたキャラ設定を読んで、ここまで描きたい人物像が明確ならば、多少無理をしてでも連載していただこうと思いました。小学生が主人公の上に、難しいテーマではありましたが、「絶対に描きたい」という強い熱意を感じたので……。
−−作品を担当するうえでうれしいこと、逆に大変なことは?
月並みですが、やはり、この作品の、世界で一番最初の読者になれること。そして、志村さんの生原稿を直に扱わせていただけることです。特にカラー原稿の美しさ! 既に高い評価を受けていて、小説のカバーイラストなどの依頼も多いのですが、毎回が試行錯誤の連続です。最新11巻の描き下ろしカラーも必見です!
……そういった姿勢での作品作りなので、ネームにしろ、原稿にしろ、とにかく極限まで粘る! そのために、スケジュールが毎回ギリギリになってしまうのが、しいて言えば大変なところですが、上がった原稿を見れば、文句なんか言えません。仕事場での待機中は、3匹の猫たちに遊んでもらってますし……。
−−今後の展開、読者へ一言お願いします。
9年目に入った長期連載ですが、物語の中ではまだ5年。高校受験を控え、進路に悩む二鳥くんたち。「小学校→中学校」と違い、「中学校→高校」は別れの多い時期です。複雑に絡んだ心の糸が、ほどけていくのか、もつれていくのか、いよいよ目が離せなくなってきますので、ご期待ください。
1月からは、フジテレビ「ノイタミナ」ほかでアニメがスタートします。連載9年目にして、というのはあまり例がないと思いますので、非常に感慨深いです。制作スタッフも志村さんファンの方が多く、とても丁寧に作ってくださっています。原作とアニメ、ぜひ両方ともお楽しみください。
エンターブレイン コミックビーム編集部 藤井修
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