ロシアの国民的人気キャラクター「チェブラーシカ」のパペットアニメが日本人監督の手によって生まれ変わった。中村誠監督が旧作1本をリメーク、新作も2本製作。アニメーションは韓国のスタジオ「ファンゴ・エンタートイメント」が手がけ、日韓スタッフが6年間かけて製作した劇場版「チェブラーシカ」は、人気絵本シリーズの初アニメ化「くまのがっこう ジャッキーとケイティ」と同時上映で全国で公開中だ。
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「チェブラーシカ」は、くだもの店のオレンジの木箱から出てきた不思議な生き物は、すぐにバタリと倒れてしまうので「チェブラーシカ(バッタリ倒れ屋さん)」と名づけられた。店主は動物園に連れて行くが引き取ってもらえず、チェブラーシカは電話ボックスを寝ぐらにすることに……。ある日、動物園で「ワニ」として働くゲーナが張り出した「友だち募集」の紙を見たチェブラーシカは、ゲーナの家を訪ねることにする……というリメーク作品を皮切りに、友だちになったチェブラーシカとゲーナがサーカス団に入りたいという少女の夢を応援する物語と孫娘を捜す奇術師のおじいさんの手助けをする物語の3本のオムニバス。
ソ連時代に人形アニメーションの世界的名作を生み出した巨匠ロマン・カチャーノフ監督が映像化した、もの悲しさの漂うオリジナル作から一新。社会風刺は陰を潜め、子ども向けだが「友だちは大切に」というテーマが踏襲されたエンターテインメント作品に仕上がった。顔が薄暗く毛もボサボサだったチェブラーシカは、顔を洗ったかのようにきれいになり、ゲーナの緑色もくっきりはっきり。手先の器用なアジア人の技術を証明する精巧な動きで、パペットたちが生き生きと躍動している。「分かんない」とぼやくチェブラーシカの可愛さや、ワニのゲーナのダンディーぶり、いたずら好きのおばあちゃんシャパクリャクの狡猾(こうかつ)さなど、キャラクターの魅力はそのままだ。現地ロシアでの上映会でも好評だったという。
日本語吹き替え版のチェブラーシカの声は人気子役の大橋のぞみさん。オリジナルとはだいぶイメージが違うので、ロシア語版と聞き比べてみるのも面白いかも。この他にも北乃きいさん、藤村俊二さんらが声の出演をしている。主題歌は原作の大ファンだという木村カエラさんが担当した。
同時上映のアニメ「くまのがっこう ジャッキーとケイティ」は、立体感があまりない和風の色彩が、かえって新鮮。はやりだからってなんでも3Dにすればいいってもんじゃない。目も疲れず、心は癒やされる。女性アーティストのコトリンゴさんが語りと音楽を担当した。お台場シネマメディアージュ(東京都港区)ほか全国で上映中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
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