英国の名匠ケン・ローチ監督のコメディー作「エリックを探して」が全国で公開中だ。大のサッカー好きで知られるローチ監督の元に、90年代にマンチェスター・ユナイテッドで大活躍していたスーパースター、エリック・カントナさんが企画を持ち込み、脚本家が物語のアイデアを練り上げて作られた。カントナさんが本人役で出演し、トボけた味わいを出している。
ウナギノボリ
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マンチェスターの郵便局員エリック・ビショップ(スティーヴ・エヴェッツさん)は、別れた2度目の妻の連れ子の息子2人と暮らしている。自宅は、やんちゃ盛りの息子と仲間のたまり場を化している。彼には憂鬱なことがいっぱいあった。まず、息子たちが言うことを聞かない。そして、近々別れた最初の妻と再会しなくてはならない。彼は師と仰ぐサッカーのエリック・カントナ選手のポスターにブツクサと話しかける。すると、部屋に本人がいるではないか! 以来、カントナ選手はときどき現れては、相談相手になってくれる。同僚の支えもあって次第に落ち着いていくが、息子がやっかいなことに首を突っ込み、トラブルに巻き込まれてしまう……というストーリー。
「すべては美しいパスから始まる」という言葉から始まるこの映画は、サッカー映画ではないのに、試合を見ているときのようなハラハラ感とシュートが決まったときのような喜びや高揚感がある。郵便局員たちの団結力も、まるでサッカーチームそのもの。ビショップはパニック障害の発作を抱え、自分と同じファーストネームを持つサッカー選手があこがれだが、この映画で描かれる2人のエリックは一人の人間の自我なのかもしれないと思わせる。否定的なビショップに、「いやいやこうだよ」と語りかけるカントナ選手の口からは次々と名言がくり出され、「俺はダメだ」と思っているビショップと観客を勇気づける。
ローチ監督にしては、これまでの作風とは異なり、かなり笑えるエンターテインメント作だが、労働者の日常、普段着の英国社会に焦点を当てるという社会派監督ならではの視点は貫いている。エリックの情けなさに共感させる演出もさすがだ。名ゴールシーンの実写映像とともに、「チャンスは必ずある」というカントナ選手のせりふが心に残る。Bunkamuraル・シネマ(東京都渋谷区)、ヒューマントラストシネマ有楽町(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(キョーコ/毎日新聞デザイン)
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