山口智子:オン・オフの境目がない 「唯一ダンナ様に甘えているときがオフかな」

「オン・オフがボーダーレスで境目がない」と話す山口智子さん
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「オン・オフがボーダーレスで境目がない」と話す山口智子さん

 女優の山口智子さんが「世界中にあふれている感動を『音』や『音楽』で共有したい」と、企画から下調べ、ロケハン、撮影の立ち会い、編集まですべてにかかわったBS朝日の番組「LISTEN1001(リッスンワンオーオーワン)」が1月にスタートした。山口さんは職人にあこがれ、コラム執筆のために職人を訪ね歩くうちに、無駄を潔く切り捨て、形の美しさで勝負する彼らの姿を目の当たりにし、自身がかかわってきたテレビの世界を振り返って反省したという。そして「夢と希望にあふれる、よりよいものを世に広める」ことは職人もテレビの世界も同じだと考え、「小さいころからテレビっ子で(笑い)、テレビを愛する視聴者の1人としてテレビに恩返しをしたい」と今回の良質な映像と音でつむがれた番組を考えついた。そんな山口さんに普段の過ごし方や生き方について聞いた。(細田尚子/毎日新聞デジタル)

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 山口さんは、「おばあちゃん子だったので、おばあちゃんが見ていた時代劇や『オレたちひょうきん族』や『カックラキン大放送』などのお笑い番組も好きでしたよ。今回の番組に関係があるとすれば『兼高かおる世界の旅』もよく見ていました」というテレビ好き。テレビ番組に自分が出演するようになって、「現地でいっぱい撮ってきたいい映像がそのまま倉庫にお蔵入りになっているのがもったいない。なんとか再利用、再生できないか」とつねづね感じていたという。そこで今回の企画を思いつき、昨年秋に撮影してきた膨大な量の映像や音を、番組で放送するだけでなく、「何か違う形で公開できないか」と考え続けている。

 番組の企画やコラムを書くときなど、納得がいくまで調べるのが信条だ。それも「リサーチは趣味」というほど、調べものをするのが楽しい。「知らなかったことを知っていくことが好きなんですね。もちろん旅も好きですけど、旅をしたときに興味がわいたことや見つけてきたたくさんの課題を、本を読んだり、ネットで調べたりするのが好きですね」と全く苦にならない。

 アイデアを考えることが好きで、仕事の時間でもプライベートの時間でもボーダーレスに考え続けているという。「睡眠時間以外はずっとかな。でも寝ているときも夢でアイデアをもらうから、起きている時間とつながっているかもしれない。眠りに落ちた瞬間って、自分で信じられないようなアイデアが生まれることがあります」と、ひらめきを大事にしている。「(夢でひらめいたことは)起きても覚えているようにしてます。昼間のうちに見落としていたポイントを夢で教えてくれたりするので、脳は年中一生懸命働いてくれているんでしょうね」と笑顔で語った。

 女優の仕事も、番組を企画したりする仕事も、さらに自分が楽しんでいるときも「ボーダーがない」という。唯一オフの時間だと思えるのは「だんな様(俳優の唐沢寿明さん)の前でゴロゴロして甘えているときでしょうか(笑い)」とちゃめっ気たっぷりに語った。

 健康のためにしているのは「ものすごく(長い距離を)歩くこと」だという。「ジムにいったり、訓練や練習が嫌いなので、例えばどこかでご飯を食べたら、家まで1時間をかけて歩いたり、旅をすることが多いので、そのときは徹底的に歩きますね。体が野生に帰る感じでしょうか。もちろん道端に花が咲いていたらその香りが漂ってきたり、街を歩けば街の音が聞こえてきたり、感覚が研ぎ澄まされます」とこちらもボーダーレスにさまざまなことを楽しみながら行っている。履物もボーダーレスで「ヒールで帰ることもありますよ。痛い思いをしながら歩けるところまで歩いてみたり」とこだわりはない。

 女性が60、70歳になっても輝ける秘訣(ひけつ)については、「自分の感覚に正直になること。自分がこの瞬間やっていることが好きなのか、嫌いなのか、自分の細胞が喜んでいるのか、拒否しているのか、ちょっと自分の内側に耳を傾けてみるだけで、楽しいことの連続になる人生を創造できると思います。自分の野生の勘に耳を傾けると人生が楽しくて仕方なくなると思います」とアドバイスした。

 <プロフィル>

 1964年10月20日生まれ、栃木県出身。88年、NHK連続テレビ小説「純ちゃんの応援歌」の主演で女優デビュー。89年に「同・級・生」、91年に「もう誰も愛さない」、92年に「子供が寝たあとで」、94年に「29歳のクリスマス」、95年に「王様のレストラン」など民放各局で出演した連続ドラマが立て続けにヒットし、「連ドラの女王」と呼ばれる。96年には「SMAP」の木村拓哉さんと共演した「ロングバケーション」が高視聴率を記録した。95年に俳優の唐沢寿明さんと結婚。最近は「ライラの冒険 黄金の羅針盤」(08年)の日本語吹き替え版やスタジオジブリの劇場版アニメ「崖の上のポニョ」(08年)に声優として参加する一方で、05~06年に「山口智子の旅シリーズ」、06年に「史上最大の女帝エカテリーナ 愛のエルミタージュ物語」、07年に「山口智子 手わざの細道」、10年に「okaeri 山口智子 美の巡礼」など教養ドキュメンタリー番組に出演。1月29日にスタートしたBS朝日で月1回放送の「LISTEN1001」(午後11時~11時25分)では企画から編集まですべてにかかわった。第2回「Stamina(スタミナ、仮題)」は26日午後11時~11時25分に放送。第3回「flow(流れ、仮題)」は3月末に放送予定。1月20日には連載をまとめた書籍「掛けたくなる軸」(朝日新聞出版)を発売。

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