7年ぶりの新型携帯ゲーム機となる任天堂の「ニンテンドー3DS」が26日、発売された。国内だけで3200万台以上を販売する空前のヒットを記録した「ニンテンドーDS」の後継機で、メガネなしで3D映像も楽しめる話題の新型機は、DSや家庭用ゲーム機「Wii」の売れ行きが頭打ちになった任天堂の今後を占う試金石となる。
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「3DS」は、裸眼で3D映像を見られるのが特徴の携帯ゲーム機。内蔵カメラで3D画像の撮影もできるほか、スリープモード時に無線LANのアクセスポイントを自動探索し、ネット上からゲームのデータや映像などさまざまな情報を届けたり、他の3DSと複数のゲームのデータを交換できるようになるなど通信機能も強化した。既存のニンテンドーDS向けソフトも遊べるほか、DSiなどで購入済みのダウンロードソフトを3DSへ移行させることもできる。価格は2万5000円。
これまでの任天堂のゲーム機は、「マリオ」などの自社タイトルがライトユーザーに圧倒的な売り上げを誇る半面、「サードパーティー」と呼ばれるソフトメーカーのタイトルの売り上げは伸び悩む傾向があった。これを踏まえ、「3DS」の同時発売ソフトは、自社タイトルは「ニンテンドッグスプラスキャッツ」1本のみに抑える一方、DSで人気を集めた「レイトン教授」シリーズの最新作をはじめ、格闘ゲーム「ストリートファイター4」、レースゲームの「リッジレーサー」などサードパーティーの有力タイトルをそろえて幅広いラインアップをアピールしている。
課題はまず価格だ。本体価格は、据え置き機の「Wii」(2万円)より高い2万5000円。ソフト1本の値段が平均5000円前後だったDSと比べ、3DSは6000円台のソフトも多い。ライバルになりつつある「iPhone」などのスマートフォンは、数百円で遊べるソフトが多く、3DSは任天堂自体が6歳以下の子供への3Dの長時間使用を控えるよう求めており、そもそも3D映像にどこまでの需要があるかも未知数だ。
さらにライバルのソニー・コンピュータエンタテインメントからも、新型携帯ゲーム機「ネクストジェネレーション・ポータブル(仮称)」が年末に発売予定だ。「モンスターハンターポータブル」のヒットで中高生のゲームファンを中心にブレークし、現在も品薄が続いている「プレイステーションポータブル(PSP)」の後継機で、5インチの有機ELディスプレーに2枚のタッチパネル、携帯電話回線(3G)にも対応する高機能で、逆転を狙う。
26日の発売当日は“脳トレブーム”の中、発売されて大混乱となった「ニンテンドーDSライト」の経験からか、任天堂は販売店に事前予約を推奨。ほとんどの販売店が予約販売のみという方針を取ったことで、大きな混乱もなく静かな立ち上がりとなったが、当日販売を行った一部店舗には早朝から多くの客が列を作り、人気の高さをうかがわせた。グラフィックの面でもパワーアップしたことから、DSの買い替え需要だけでも相応の売り上げが見込まれる。複数の流通関係者によると、3DSの初日出荷が40万台、年度末までの出荷台数を150万台程度と予想しており、「150万台がすぐ売り切れてしまうほどの盛り上がりを維持できれば、今後も明るい」と期待を寄せる。「3DS」で、DSの“脳トレブーム”のような盛り上がりが来るのか注目だ。(毎日新聞デジタル)
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