大地康雄:上野樹里は「江そのもの」 大河ドラマ「江」で柴田勝家役

インタビューに答える大地康雄さん
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インタビューに答える大地康雄さん

 上野樹里さん主演の大河ドラマ「江 姫たちの戦国」の第8話「初めての父」が27日に放送される。鈴木保奈美さん演じるお市と結婚し、上野さん演じる江ら三姉妹の養父となる柴田勝家を演じる大地康雄さん。「上野樹里さんは江そのものでした」と振り返る大地さんに話を聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 「江」は、織田信長の妹・お市と近江の戦国武将・浅井長政との間に生まれた“浅井三姉妹”の三女・江が、波瀾(はらん)万丈の戦国時代をしなやかに生き抜き、江戸時代の幕開けを見届ける様を描くドラマ。第8話「初めての父」では、お市が江たち三姉妹を引き連れて柴田勝家のもとに嫁ぐが、茶々(宮沢りえさん)や初(水川あさみさん)は勝家を受け入れられず、江は初めての父に戸惑っていた……というストーリー。

 勝家について「けんかが強くて剛直、気持ちが強くて信念を曲げない、そういうイメージが強かった」という大地さん。今回は織田信長への強い忠誠心や剛直なイメージだけではない、これまでにない勝家を演じている。「市と結婚して、あの美女4人に囲まれて生活しなきゃいけない。勝家にとっては、まさに青天の霹靂(へきれき)。そういった経験もなかった人物なので、家来たちも今まで見たことない勝家像が出てくるわけですよ。とまどって、舞い上がって、はしゃいでみたりするんです」と明かす。

 亡き父、浅井長政への思いから茶々や初は勝家に反発するが、あることをきっかけに、家族として強い絆で結ばれていくことになる。それでも、秀吉から戦を仕掛けられ、約半年という短い“蜜月”は終わってしまう。大地さんは「江はじめ三姉妹から『戦はいやでございます』と言われるシーンが印象深かった」と振り返る。「勝家だって、戦よりも楽しい家族愛の中で生きていったほうが幸せに決まってるんですけど、葛藤するシーンがあります。こういうところって俳優としてやりがいがあるんです。そして、最後に家族と別れるシーンですね。これはちょっとつらかった。『わしの人生はこの半年が花であった』と、家族に感謝を述べるシーン。終わった今でも思い浮かべますね」としみじみと語る。

 上野さんについては「江そのもでしたよ。樹里ちゃんも、無駄な口をあまり聞かない。ずうっと台本とにらめっこして悩んでたり、セットの隅で考え事してたり、江が悩んでる顔なんですよ。そのまんま。役のことを考えて悩んでるのか、江が悩んでるのか、区別がつかないぐらい入れ込んでましたね」と語り、「めずらしいくらい仕事に対する取り組み方が真摯(しんし)で、すごく今後が期待できる。周りにも気を使えて、すてきな女優さんですよ」と絶賛した。

 上野さんとの演技では「気持ちが通じ合ったシーンが何回かあった。向こうは、どう感じたか分からないけど、演技が掛け算になるというような瞬間が何回かありましたよ」と振り返る大地さん。上野さん本人も「大地さんが芝居の空気を作ってくれて、引き出してくれて、すごくやりやすかった」と話していたといい、大地さんは照れ笑いを浮かべていた。

 24日にはNHKのトーク番組に出演し、改めて「江」の撮影を振り返ったという大地さんは「役のことはすぐに忘れるほうなんですが、(映像で)樹里ちゃんを久しぶりに見て、胸がジーンとしてきたんです。元気でいたんだなあと、なんだか不思議な体験でした。娘が自分の中でよみがえってきたっていう感じ。まだ、おれの中に勝家が残ってるのかなってね」と役柄そのままに“親心”に目覚めたかのようだった。

 撮影現場でも女性ばかりに囲まれていたという大地さんは、「なるべく役以外は目も合わせないように、口もきかないようにしてました」と苦笑い。「女性とどう接していいのかわからないというか、そういうことってあるじゃないですか。どう振る舞っていいかわからない、話したりしたいんだけど、思いが強いほど無口になっちゃうみたいなこと。勝家もこんなことを感じたのかな。世の男性は共感するんじゃないかと思いますよね」と笑顔で話していた。

<プロフィル>

だいち・やすお 1951年、熊本県生まれ。75年にテレビ時代劇「剣と風と子守唄」(日本テレビ)で俳優デビュー。83年に「深川通り魔殺人事件」(千野皓司監督)で主役の殺人犯・川俣軍司役に抜てきされ、その鬼気迫る演技で注目を集めた。その後、「マルサの女」(伊丹十三監督)をはじめ、多数の映画に出演し、数々の賞に輝く。テレビでも活躍しており、お茶の間での人気も高い。05年には映画「恋するトマト」で企画・脚本・製作総指揮・主演の1人4役を務めた。

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