マンガ質問状:「乙嫁語り」中央アジア文化へのあこがれが発端 ラブロマンスを縦軸に

森薫さんのマンガ「乙嫁語り」(エンターブレイン)2巻の表紙
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森薫さんのマンガ「乙嫁語り」(エンターブレイン)2巻の表紙

 話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、美女のアミル(20)と、あどけなさの残る少年カルルク(12)の夫婦を軸に、中央ユーラシアの遊牧民と定住民の暮らしを描いた森薫さんのマンガ「乙嫁語り」です。フェローズ編集部(エンターブレイン)の大場渉さんに作品の魅力を聞きました。

ウナギノボリ

 −−この作品の魅力は?

 いまから約100年前、19世紀末の中央アジア。20歳のお嫁さんアミルが嫁いだ相手は、まだ12歳のカルルク少年。遊牧民と定住民、年上の女房と年下の旦那様というギャップを越えながら、2人は緩やかに愛を育んでいく……。ラブロマンスを縦軸に、食文化、寝るところ、織物から建築まで、当時の生活文化をていねいに描き込んでいくシルクロードマンガです。

 −−作品が生まれたきっかけは?

 中学生のころに、シルクロードブームにはまって関連書を読みあさっていた森薫さんの、中央アジア文化へのあこがれが、しばらく時間をおいて再燃したため。シルクロード諸地域は東域から西域まで広く、それをマンガで表現するために、イギリスからの旅行者スミスを主人公としました。第1部のアミル編を「コーカサス」付近で始め、第2部のタラス編を経て、連載はいま第3部・海域編を始めようとしているところです。

 −−編集者として作品を担当するうえでうれしいエピソードを教えてください。

 森薫さんの作画を、生の原稿で見ることができる。これがとてもうれしい。原稿用紙につけペンで描かれた描線は、極めると、もう、本当に、見ているだけで涙が出てくるくらい美しいものです。どきどきします。わりとひんぱんに生原画展を、書店店頭で開催しているのは、この感動を読者の方にも味わってほしいから。

 −−今後の展開、読者へ一言お願いします。

 4月発売のフェローズでは「乙嫁語り」本編のほかに、森薫さんの読み切りを掲載予定。また、6月発売のフェローズからは第3部の海域シルクロード編をスタートさせます。お楽しみ下さい。

 エンターブレイン フェローズ編集部 大場渉

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