アンジェリーナ・ジョリーさんとジョニー・デップさんが初共演した話題作「ツーリスト」(フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督)が5日、全国で公開される。おしゃれでユニークで、洗練されたロマンチックミステリー。その合間には、風光明媚(めいび)なベネチアの景色がはさみ込まれる。“水の都”だけに、カーアクションの代わりにボートチェイスが繰り広げられる。ハリウッドお得意の壮大なアクションを楽しみにしていると期待はずれに終わるかもしれないが、そこかしこに大人の気品が漂い、米アカデミー賞外国語映画賞に輝いた「善き人のためのソナタ」(06年)で知られるドイツ人のドナースマルク監督のセンスのよさがうかがえる。
ウナギノボリ
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国際指名手配されている金融犯罪者アレクサンダー・ピアースを追う警察が、彼の恋人エリーズ・クリフトン・ワードを監視中、そこに運悪く居合わせた旅行客フランク・トゥーペロがピアースと間違われ、警察に捕まるやら、ギャング一味に命を狙われるやらでてんてこまい。それでも彼は、エリーズと行動を共にするうちに彼女に引かれていく。エリーズもまた、ピアースとの接触を試みながら、ことあるごとにしゃしゃり出てくるフランクのことが気になり始める。果たして警察はピアースを仕留めることができるのか。そして、エリーズとフランクの関係は? もちろん、エリーズはジョリーさん、フランクはデップさんが演じる。
映画の醍醐味(だいごみ)は、タイトルが「ツーリスト(=旅行者)」というだけあって、エリーズとフランクが巡る旅先の風景はもちろん、エリーズに翻弄(ほんろう)されまくる警官隊の動きも面白い。そして、図らずも事件に巻き込まれるデップさんの間抜けづら(失礼!)も拝める。ジョリーさんはもちろん魅力的だが、今作においては、むしろデップさんのほうがチャーミングだ。脚本はドナースマルク監督と共同で、「ユージュアル・サスペクツ」(95年)のクリストファー・マッカリーさんと、「ゴスフォード・パーク」(01年)のジュリアン・フェロウズさんが共同で執筆した。ともに、米アカデミー賞脚本賞受賞歴がある実力派だ。5日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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