村上弘明:故郷・陸前高田の惨状にショックも「私が励まされた」

「大地の詩−留岡幸助物語−」の初日舞台あいさつに登場した村上弘明さん
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「大地の詩−留岡幸助物語−」の初日舞台あいさつに登場した村上弘明さん

 俳優・村上弘明さんが9日、東京都内で行われた主演映画「大地の詩−留岡幸助物語−」(山田火砂子監督)の初日舞台あいさつに、共演者の工藤夕貴さんらとともに登場した。東日本大震災の被災地となった岩手県陸前高田市出身で、数日前に現地を訪れたという村上さんは「とんでもない状況、ハンマーで後頭部を何回も殴りつけられたような状況だった」と沈痛な面持ち。「それでも被災地で一生懸命に生きる人々を見て、私が励まされて帰ってきました。陸前高田の大自然の中で育まれた精神性や肉体は私の財産。こういった大震災のたびに人々は支えあって復興してきました。今回も絶対に、支えあい、助け合い、復興できると信じています」と力強く語った。

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 村上さん演じる留岡の妻・夏子を演じた工藤さんは、3月16日に震度6強の揺れを記録した静岡県富士宮市に暮らしており、「家の中のガラスがほとんど割れてしまった。自分でやっているお店も強制的にクローズするような状況になってしまいましたが、東北のことを考えると、この程度ですんで良かったと思うくらい」と被害を報告。「この映画は、人と人が手をつないで、神様は悪人も善人も分け隔てなく、人間としての価値のない人間は世の中にいないということを、しっかりと伝えてくれる映画なので、この復興の時期にぴったりだと思う。私たちにできることを微力ながら、全身を尽くして頑張っていきたい」と語った。

 「大地の詩」は、“不良少年厚生の父”と呼ばれた日本の社会福祉の先駆者・留岡幸助を描いた作品。牧師の幸助は、妻子を連れて北海道・空知にある監獄の教誨(きょうかい)師に就任、過酷な刑罰を受ける囚人たちを目にし、彼らの更生と監獄の改革に乗り出す。犯罪の芽は幼少期に発すると知った幸助は、幼いころの家庭教育の大切さに気づき……というストーリー。大自然に囲まれた北海道遠軽町に家庭学校を創設した幸助の生涯が描かれる。新宿武蔵野館などで公開中。この日の舞台あいさつでは、映画の興行収入の一部を被災地への義援金として寄付することも発表された。(毎日新聞デジタル)

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