話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、高校受験に失敗し、男ばかりの工業高校に入学するはめになった女子高生・吉野直の物語を描いたアキヤマ香さんのマンガ「アスコーマーチ！」（マーガレットコミックス）です。集英社の「YOU」編集部・鈴木秀幸さんに作品の魅力を聞きました。（毎日新聞デジタル）

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　−−この作品の魅力は？

　ストーリーは、目指していた女子高に落ちてしまった主人公の吉野直（よしの・なお）が、明日香工業高校に入学するところから始まるのですが、新入生148人中女子が4人しかいないことや、まるで工場内の作業のような授業に戸惑います。工業高校がどんな学校なのか知らない方も多いと思いますので、まずは直と同じように、工業高校はこんな場所なのだということを知ってもらいたいですね。

　そして、そんな状況から直が前向きに考え方を変えていく様子。そこからクラスメートたちと男女の垣根を越えた友情を育んでいくドラマを楽しんでいただければと思います。基本は熱い青春ストーリーです！

　この作品は高校生が主役ではありますが、女性マンガ誌の「YOU」で連載されています。その分、男性マンガとも少女マンガとも違った、生徒の描き方ができているのかなと。ヒーローらしいヒーローは出てきませんが、みんなに共感してもらえる、人間味あふれるキャラクターが多いのではないかと思います。

　−−作品が生まれたきっかけは？

　打ち合わせの席で、前担当者が「家電の配線が得意な男の人って格好良くありません？」「作業着、着ている男子に“萌（も）え”ます」ということを熱く語っていたのが、工業高校を舞台に……という話につながったそうです（笑い）。

　実際に工業高校の取材に行く中で、作者のアキヤマさんも負けないくらいの情熱（？）を身につけたようですが（笑い）。

　−−編集者として作品を担当するうえでうれしいこと、逆に大変だったエピソードを教えてください。

　これまでのマンガの中では「工業高校＝不良男子の多い学校」というふうに描かれることが多かったと思います。でも実際に取材をしてみると現在の工業高校は、そんなイメージとは違うんですよね。礼儀正しい生徒が多いし、何かものを作るのが好きという気持ちも伝わってきます。実際に工業高校に通っているという生徒やOBから、そういう姿を描いてくれてありがとうというお便りをもらったのは、作家さんも僕も非常にうれしかったです。

　−−今後の展開など、読者へ一言お願いします。

　「アスコーマーチ！」をドラマ化していただけることになりました（24日から毎週日曜午後11時、テレビ朝日系）。今、一番注目を集めている女優の武井咲（たけい・えみ）さんが直を演じます。ドラマを見て、作品や工業高校という舞台に興味を持った人は、ぜひ原作コミックスも手にとっていただきたいと思います。

　YOU本誌の連載は、2年に進級する前の進路選択などの学生らしいエピソードや、恋愛ドラマもひそかに盛り上がってきていますので、引き続き今後の展開にご注目ください！