話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、青森県から上京した16歳の津軽三味線奏者・澤村雪が“自分の音”を探して奮闘する姿を描いた羅川真里茂(らがわ・まりも)さんのマンガ「ましろのおと」です。「月刊少年マガジン」(講談社)編集部の山中寧さんに作品の魅力を聞きました。
ウナギノボリ
10年前の朝ドラ「花子とアン」 当時の吉高由里子インタビュー
−−この作品の魅力は?
「ましろのおと」は、祖父を亡くした津軽三味線奏者・澤村雪が、単身、青森から上京し、自らの音を探す青春ストーリーです。見どころはなんといっても演奏シーンでしょう。雪の演奏を通して(本当に音が聴こえるようです!)、時には桜が舞い散るように、時には津軽の古き時代に誘われるように、さまざまな風景が浮かび上がります。少年マンガの主人公としてはすごく無愛想で(笑い)取っつきづらい性格の雪が、三味線を通じて、少しずつ仲間やライバルとふれあって成長していくところも注目ですよ。ちなみに、主人公・雪のモデルは島耕作(なんとなく行く先々でモテる)、母・梅子はなんと(米歌手の)レディー・ガガだそうです!
−−作品が生まれたきっかけは?
羅川先生が、伝説の津軽三味線奏者・高橋竹山さんのドキュメンタリーをテレビで見て以来、描きたいテーマとして10年程温めていたそうです。担当として、最初の打ち合わせの時は正直、半信半疑でした。「初の少年誌だし、もうちょっとメジャーなテーマの方が」と思わず言いかけたのですが、最初の原稿を見て不安は吹き飛びました。(単行本の1巻に収録している)読み切りの評判も上々で、連載に向けて動き出しました。最初の打ち合わせで、余計なことを言わなくて本当に良かったです(笑い)。
−−編集者として作品を担当するうえでうれしいこと、逆に大変だったエピソードを教えてください。
津軽三味線の文献や資料が少ないので、全国津々浦々、いろんな所に取材に行くのですが、そこで出会う津軽三味線関係者の方々がとても気さくなのです。(同作の)PV用に楽曲を提供してくださった上妻宏光さんをはじめ、みなさま快く協力してくれるのがうれしいです。大変だったのは、青森・弘前の全国大会に取材に行くときに、羅川先生が渋滞に巻き込まれて、飛行機に間に合わず! もしもの事があったらと、弘前駅前でめぐり合うまでドキドキしながら数時間を過ごしたことです。
−−今後の展開、読者へ一言お願いします。
11年5月号時点では、雪たちは津軽三味線大会に向けて特訓中。いよいよ雪が、強敵たちと激突し、作品もますます盛り上がりますのでこうご期待です。メディア化のお話もいくつかいただいているので、ベストのタイミングで具体化していけたらと思っています。現在、単行本3巻発売を記念して、講談社コミックプラスで「ましろのおと」のPVを公開中! それもチェックしてみてくださいね!
月刊少年マガジン編集部 山中寧
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