14日に封切られた映画「少女たちの羅針盤」で主演を務めた女優の成海璃子さん。映画は高校生劇団「羅針盤」のメンバーが殺されてから4年後、事件の犯人の目線で次第に真実が浮き彫りになっていくという異色のミステリーで、成海さんは忽那汐里さんや森田彩華さん、草刈麻有さんという同世代の若手女優とともに10代の魅力を輝かせている。現在と過去が複雑に入り交じる展開の同作の撮影中は「演技に悩みっぱなしだった」という成海さんに、撮影現場の様子や映画について聞いた。(黒澤恵/毎日新聞デジタル)
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映画は、撮影のために4年ぶりに故郷にやって来た殺人事件の犯人である語り部の女優の目を通して進行する。犯人の正体が分からず、誰が殺されたかも分からないまま物語が進むという難解な構成の映画に、成海さんは台本を読んだときに混乱したという。「全然(映像が)想像もできなくて、いいとか悪いとか面白いとか、何にも分からない状態でした」とその混乱ぶりを表現する。
不安な状態のまま挑んだ現場では、演じた女子高生劇団「羅針盤」のリーダー的存在・瑠美のキャラクターの影響もあって、責任感も人一倍だったようだ。「私が主役なんで、私がちゃんとしなきゃいい映画になりませんから。どうすれば映画がよくなるか、毎日考えていました」と真剣な面持ちで語った。現場の雰囲気も「どうしようと思いました。たぶん人に想像されている(楽しい)雰囲気とは違ったと思う。映画をよくしたいから、他の3人のメンバーとどういう距離感を取ればいいのかすごく難しくて」と悩んだことも打ち明けた。
演技をするとき、成海さんはキャラクターを自分と重ねてアプローチすることはないという。「今回の作品で素に近い部分は?」という質問には「あんまりそうやって考えたことがないんですよ。自分の素もちょっとよく分からないし、役のことも客観的に考えたことがない」と戸惑ったような表情になった。だが、今回のように「何も分からない」という不安な状況でも、役柄に取り組む姿勢は常に真っすぐで「分からないということは、よくも悪くもあって、分からない分、面白いってすごく思うんです」と女優の顔をのぞかせる。
出来上がった作品とはまだ正面から向き合えてはいないようで、成海さんは「もう少し時間がたてば冷静になれて、この作品が好きになれるかもしれないけれど、今はまだ分からないです」と結論は出ていないようで、見どころについては「今の状態で見どころをいえる状態じゃないんですけれど、すべては(劇中の高校生劇団の)『羅針盤』にあると思う。実際に(撮影中は)毎日、毎日、けいこもしてきたし、(そんな情熱を)画面を通して分かってほしい」と真摯(しんし)な思いを語った。
次回は、成海さんのプライベートな時間の過ごし方などを聞く。
<プロフィル>
92年8月18日生まれ。神奈川県出身。00年にテレビドラマ「TRICK」(テレビ朝日系)の主人公の少女時代を演じて女優デビュー。02年「TRICK 劇場版」で映画デビューを果たした。05年にはドラマ「瑠璃の島」(日本テレビ系)で初主演。07年には「神童」で映画でも単独で初主演を務め、同年の2本目の主演映画「あしたの私のつくり方」の演技力が評価され「山路ふみ子映画賞新人女優賞」など数々の賞を受賞した。09年には「罪とか罰とか」「山形スクリーム」でコメディー映画にも挑戦し、10年の「武士道シックスティーン」「書道ガールズ!! わたしたちの甲子園」などでも主演した。現在は毎週木曜午後10時から放送中の連続ドラマ「BOSS」(フジテレビ系)で黒原理香役を好演している。成海さんが主演を務める映画「少女たちの羅針盤」は4月23日に広島で先行公開され、14日から全国で公開中。
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