ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
話題の小説の魅力を担当編集者が語る「ブック質問状」。今回は、降りかかった過酷な運命に対する小説家の主人公とその夫の姿を描いた「ストーリー・セラー」(有川浩著)です。新潮社「小説新潮」編集部の新井久幸さんに作品の魅力を聞きました。
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−−この作品の魅力は?
先の読めない展開や、恋愛小説としての魅力もさることながら、「小説」だと分かっていても、「これって、どこまで本当なの?」と、いぶからずにはいられないほど技巧を凝らされた構成。おそらく、有川作品の中でもっとも巧緻(こうち)に作り込まれた作品です。ページをめくるたびに、虚実の狭間(はざま)に落とされるような感覚を味わうことでしょう。
−−作品が生まれたきっかけは?
「Story Seller」というアンソロジーへの寄稿をお願いしたところ、この「ストーリー・セラー」という響きにインスパイアされたそうで、アンソロジーと同タイトルの作品になりました。
−−作家さんはどんな方でしょうか。
お好み焼きを作るのがうまい方です! 何度かお手製のお好み焼きをごちそうになったことがあるのですが、お店で食べるのがアホらしくなるほどおいしかったです。作り方を覚えて帰るのですが、どうしても自分では再現できません。
という話はさておき。有川さんは、とても面倒見が良く、義理がたい方です。また、「仕事」という面ではプロフェッショナル中のプロフェッショナルで、一緒に仕事をしていると、自分の至らない点や甘い点にいくつも気付かされます。また、出版社の垣根を越えて、担当者同士、横のつながりが強いことも、特徴の一つだと思います。有川さんをリーダーとして、みんながチームみたいな感じになっているのは、とても楽しいですね。
−−編集者として、この作品にかかわって興奮すること、逆に大変なことについてそれぞれ教えてください。
自分の考えたアンソロジータイトルがきっかけになって生まれた作品、というだけで、もう格別の思い入れがあります。この仕事についた幸せを感じることの一つです。そして、この作品に限りませんが、いい作品をいただいた以上、それに見合った本にしてたくさんの人の手に届けなければと思いますので、それはプレッシャーですね。とはいえ、大変というよりは、うれしいプレッシャーではありますが。
−−今後の展開、読者へ一言お願いします。
「ストーリー・セラー」が、作家を主人公にした物語とすれば、編集者を主人公とした物語「ヒア・カムズ・ザ・サン」が、「小説新潮」6月号に掲載されます。これは、すべての編集者必読、と声を大にして言いたい作品です。
また、この作品は、「演劇集団キャラメルボックス」とのコラボレーションで生まれた作品であることも、大きな特徴の一つです。原作でもノベライズでもない、まったく新しいエンタメ体験。詳細は誌面で! ぜひ、お手に取ってご覧ください。
新潮社「小説新潮」編集部 新井久幸
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