注目映画紹介:「マイ・バック・ページ」 “政治の季節”の若者たち 妻夫木、松ケンが共演

「マイ・バック・ページ」の一場面。(C) 2011映画「マイ・バック・ページ」製作委員会
1 / 1
「マイ・バック・ページ」の一場面。(C) 2011映画「マイ・バック・ページ」製作委員会

 若きジャーナリストと革命家の出会いから巻き起こった事件を描き、妻夫木聡さんと松山ケンイチさんという旬の俳優の共演でも話題の「マイ・バック・ページ」(山下敦弘監督)が公開中だ。実在の事件を基に“政治の季節”の若者たちの葛藤と挫折を描き出した注目作だ。

ウナギノボリ

 1969年、東大安田講堂事件で全共闘運動が失速。東都新聞社の週刊誌記者の沢田(妻夫木さん)は、ジャーナリストとしての客観性と感情のはざまに揺れながら、若者らしい闘志を胸に働いていた。そんなある日、澤田は、先輩記者とともに活動家の梅山(松山さん)という男に接触。梅山は「武器を奪取して4月に行動を起こす」と打ち明ける。梅山に対して疑念とともに不思議な親近感を覚えた沢田は、先輩記者の忠告をよそに、次第に梅山に引き込まれていく……。

 原作は川本三郎さんの自伝的小説で、「天然コケッコー」の山下監督が映画化した。山下監督作品に特有の乾いた感覚の中の湿り気とおかしさはどこへやら。これまでの山下映画とは違うテイストの映画で戸惑うが、新境地を得たということなのだろうか。当時の週刊誌の編集部や大学の空気感が、小道具のセロハンテープにいたる細かいところまで、ノスタルジックに時代を再現している。

 2人の男が生き方を模索する話だ。妻夫木さん演じるジャーナリストと松山さん演じる活動家。アップで映し出されたときの、緊張感ただよう2人の表情がいい。当時を知らない若い俳優の目が、役を鋭くとらえている。自分と懸命に格闘している若者の姿が、今の若い世代にどう響くのだろうか。新宿ピカデリー(東京都新宿区)、丸の内TOEI(東京都中央区)ほか全国で公開中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

映画 最新記事