注目映画紹介:「アリス・クリードの失踪」 3人きりの室内劇 物語は意表をつくラストへ

「アリス・クリードの失踪」の一場面 (C)CINEMANX FILMS TWO LIMITED 2009
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「アリス・クリードの失踪」の一場面 (C)CINEMANX FILMS TWO LIMITED 2009

 英国発のサスペンス映画「アリス・クリードの失踪」(J・ブレイクソン監督)が11日に公開された。富豪の娘アリス・クリードを2人組が誘拐。計画は用意周到でうまく進むかに見えた。しかしアリスが反撃に出たとき、計画はあらぬ方向に転がっていく……。

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 77年生まれのブレイクソン監督の長編デビュー作で、その出来は、ダニー・ボイル監督のデビュー作「シャロウ・グレイブ」(95年)や、クリストファー・ノーラン監督の「メメント」(00年)に匹敵するともっぱらの評判だ。

 せりふらしいせりふがない冒頭の10分間……2人の犯人が誘拐計画をスタートさせ、ホームセンターへ行き、材料を買い出し、ある建物の室内に運び込み、細工を施していく。その手際のよさと展開の速さに、まずは心を奪われる。その後も、アリスと犯人2人が、それぞれ“意外な告白”をするたびに力関係が変化し、意表をつくラストへと向かっていく。登場人物はたったの3人で、ほとんどが室内劇であるにもかかわらず、終始、緊迫感ある展開に仕立て上げたブレイクソン監督にあっぱれ。驚きと楽しみを増やすために、あらすじに目を通さずに見てほしい。

 アリス役は「007 慰めの報酬」(08年)のボンドガールとして注目を浴び、「プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂」(10年)でヒロインを演じたジェマ・アータートンさん。誘拐犯のリーダー格を「シャーロック・ホームズ」(09年)や「ハンコック」(08年)などに出演したエディ・マーサンさんが演じ、もう1人をケン・ローチ監督作「SWEET SIXTEEN」(02年)でデビューしたマーティン・コムストンさんが演じる。ヒューマントラストシネマ有楽町(東京都千代田区)ほか全国で順次公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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