ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
話題のライトノベルの魅力を担当編集者が語る「ラノベ質問状」。今回は、戦災によって放浪の身となった少女が、野良戦車から街を守る私立戦車隊でさまざまな出来事に遭遇する「ニーナとうさぎと魔法の戦車」(兎月竜之介著、BUNBUN画)です。集英社スーパーダッシュ文庫編集部の三輪宏康さんに作品の魅力を聞きました。
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−−この作品の魅力は?
この作品の最大の魅力は、主人公・ニーナをはじめとしたキャラクターたちの前向きさだと思います。魔法が体系的に運用され、さまざまに活用されている世界。一般的に魔力は女性の方が強い傾向にあります。そんな世界で女性だけの戦車隊・首なしラビッツの一員として働くニーナはたった12歳の少女なのにつらい過去を抱えて生きています。それでも彼女は誰かを憎むことを選ばす、許すことを選びます。たった一人の首さえもとったことがないから「首なし」ラビッツ。彼女たちは信念を持って前向きに戦っているのです。このお話は強くて、かわいくて、かっこいい少女たちの物語です。
−−作品が生まれたきっかけは?
この作品は第9回スーパーダッシュ小説新人賞にて大賞を受賞した作品を改稿し、出版したものです。新人賞の最終選考会の席上で、選考委員の稲垣理一郎先生が「で、この作者さんはいつプロになるの?」とおっしゃったように、投稿時から非常に完成度の高い作品でした。投稿作を読んでいるとき、かわいらしい少女たちを描きながら、それぞれにしっかりとしたキャラクターとしての肉付けが存在することに感動したことを覚えています。
−−作家さんとイラストレーターさんはどんな方でしょうか。
作者の兎月竜之介さんは、魚が泳いでいないと死んでしまうように、物語を書いていないと生きていけない人です。プロットや原稿のチェックなど、編集サイドの作業で待ち時間ができると、すぐさま別の物語を考え始めます。それは「ニーナとうさぎと魔法の戦車」に生かせるものもあれば、まったく別のベクトルのお話で、ライトノベルでは使うことが難しい内容も多いです。そんなふうに生まれてきた物語から、いつか第2、第3の作品が発表できるとうれしいです。
イラストレーターのBUNBUNさんは「かわいい」と「かっこいい」が同居する稀有(けう)な方です。以前、吉村夜さんの「アスカ−麻雀飢狼伝−」(ライトノベルでマージャンを真っ正面から扱った珍しい作品です)でお仕事をさせていただいていまして、「ニーナ」のイラストをどうするかという際に真っ先に浮かんだのがBUNBUNさんでした。まさに「ニーナ」の世界観に必要なのが上記の「かわいい」と「かっこいい」だったからです。そして実際にどうなったかといえば、ご覧の通りのすばらしいクオリティー。「ニーナ」の半分はBUNBUNさんでできています。マージャンとか戦車ですとか、描くのが大変な作品ばかりお願いして恐縮です。
−−編集者として、この作品にかかわって興奮すること、逆に大変なことについてそれぞれ教えてください。
作者の兎月さん、イラストのBUNBUNさんのそれぞれから出力されるアイデア、イメージに圧倒される毎日です。月並みではありますが、それらの第一の読者となれることがこの仕事の最大のうまみかと考えております。大変なことは特にございません。
−−今後の展開、読者へ一言お願いします。
弊社の月刊マンガ誌「ジャンプSQ.」の別冊付録「SDMP(スーパーダッシュマンガプログラム)」において、薮口黒子さんの手によるコミカライズを3回にわたって掲載いたしました。おかげさまで文庫の重版が即時決まるなど、好評をいただきました。これで終わりというわけではなく、何らかの形で他メディアへの展開を続けていきたいと考えております。詳細は随時発表しますのでお楽しみに。もちろん、文庫の本編も続いていきます。現在制作中の4巻はラビッツのあの子の過去がキーになる物語になる予定です。こちらもご期待ください。読者の皆様には、これからもニーナと仲間たちの活躍を見守っていただけますようお願いいたします。
集英社スーパーダッシュ文庫編集部 三輪宏康
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