マンガ質問状:「カッコカワイイ宣言!」本気悪ふざけマンガ 連載許可下りず前編集長の「仕方ない」で開始

「カッコカワイイ宣言!」2巻の表紙
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「カッコカワイイ宣言!」2巻の表紙

 話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、「この漫画にはかっこいい男子やかわいい女子しか登場させないことをここに宣言します!」と宣言し、どこかイラッとするキャラクターたちを描いた「地獄のミサワ」さんのギャグマンガ「カッコカワイイ宣言!」です。「ジャンプスクエア(SQ.)」(集英社)編集部の林士平さんに作品の魅力を聞きました。

ウナギノボリ

 −−この作品の魅力は?

 地獄のミサワ先生の、本気の悪ふざけです。先が読めない展開とキャラクターたちにミサワ先生の自由奔放な狙いが詰まっている実験的な笑いが魅力です。また、ギャグマンガのいわゆる“お約束”を無視する姿勢が今の読者に新鮮に受け取られたのかもしれないです。なんせ、一番大事な主人公キャラを読者から募集するぐらいですから。現在もニコニコ静画内にて9月1日まで募集中です。

 −−作品が生まれたきっかけは?

 (ミサワさんの)赤塚賞準入選の後、ウェブでのショートギャグの掲載や、読み切り掲載を重ね、1年ほどたったときに連載企画を作り始めました。約半年間で2回ほど、連載企画を提出していたのですが、編集部の会議を通りませんでした。「売れなさそう」「他誌が向いているのでは」などの理由でした。

 このままだとずっと連載を開始することができないと思ったので、編集部をだます方法で連載をもぎ取ろうと思って、少しトリッキーな形で連載企画を提出しました。それが4ページでの連載です。「少ないページ数だから、雑誌に被害が少ないですよね? だから連載させてください!」というかなり下手に出た連載企画です。そのころ、ミサワ先生のブログが話題になり始めていたので、そのPVの数をミサワさんからいただいて「毎月雑誌に4ページ載っければ、これぐらいの数のウェブユーザーに宣伝できますよ、費用対効果が高い連載になりますよ」という甘言でトライしておりました。

 それでも、願いは伝わらずボツになりかけていたのですが、偶然、他作品が少し連載をお休みするタイミングがありまして、その際、前編集長が「仕方ないからあれ、やる?」と言ってくれて。晴れて「ジャンプSQ.」史上初の予告なしカラーなしの連載が開始できました。本当に幸運でした。現在は毎月20ページ前後で連載させていただいています。

 −−特にインターネットで大人気です。この爆発的な人気の理由はなんだとお考えですか?

 読者にとって、地獄のミサワ先生自身と、ミサワ先生が生み出し続けているキャラクターたちが、読者がみんなで遊べるおもちゃのような存在になれたからだと思います。ミサワ先生のブログは商用利用以外では、自由に使ってもらってOKというスタンスで運営しています。積極的に読者のみなさまに自由な形で拡散していただいた結果、いろいろなサイトでミサワ先生の特徴的な絵とキャラを見て楽しんでいただいて、多くのインターネットユーザーの印象に残ったと考えております。

 −−編集者として作品を担当するうえでうれしいこと、逆に大変だったエピソードを教えてください。

 担当としてうれしかったのは「売れないんじゃない?」といわれていたきわどい作品を、しっかり読者に届けることができたこと。大変だったことは、ミサワ先生の自由奔放さを許容することですね。例えば、ミサワ先生の公式ブログ「女に惚れさす名言集」を本にして発売する企画を進めていた際、ミサワ先生から本のタイトルを「ヤング! ヤング! Fruits」に変更したいとギリギリのタイミングでリクエストをいただきました。ミサワ先生の提案することだから、きっと大事な狙いがあるはず、と社内でしかられつつも、無理やりタイトルを変更したのですが、発売を記念する生放送の際「別にどっちのタイトルでもよかった」と言われてしまい……。あれ? 何で自分しかられたんだろう? と思ってしまいました。ただ、予想できないからこそ、楽しい仕事ではあります。今後も予想できないことが山積みだろう、と予想しつつ全力で楽しんでいこうと思っています。

 −−今後の展開、読者へ一言お願いします。

 前回5話分だけ制作させていただいた「カッコカワイイ宣言!」のアニメが、幸いにも好評だったお陰で、続編を制作させていただけることが決定しました。前回以上に実験的で、新しいアニメになる予定ですので、楽しみにしていただけるとうれしいです。ニコニコ動画内にて8月中に放送開始予定です! 詳細は公式ホームページにて。またアニメ放送を記念して「カッコカワイイ宣言!」×原宿・ニコニコ本社のコラボ企画をスタートします! 9月3~19日まで予定しております。キャンペーン初日には、地獄のミサワ先生がニコニコ本社での生放送イベントに登場します! お時間ある方はぜひ見てみてください。

ジャンプSQ.編集部 林士平

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