10年の米サンダンス映画祭でグランプリに輝き、今年の米アカデミー賞では作品賞をはじめ4部門でノミネートされていた、女性監督デブラ・グラニックさんによる話題作「ウィンターズ・ボーン」が公開中だ。
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米ミズーリ州の山間の村に住むリー・ドリーは、17歳にして幼い弟と妹、病気の母親の面倒を見ている。リーは家出中の父親が自宅を保釈金の担保にしたまま失踪したことを知る。翌週の裁判に父親が出廷しなければリーたちは家を没収されてしまう。リーは身の危険を顧みず、父親を捜すために、村に散らばるならず者だらけの親族や知人を訪ねて回ることにするが……。
ウィンターズ・ボーンとは冬の骨の意。意味深なタイトルだが、その理由はやがて分かってくる。冬の寒々とした風景の中でつむがれていくドラマ。心がささくれ立つほどの場面に出くわすこともあるが、絶望でふさぎこむことなく、前を向いて歩き続けるヒロインのリーのりりしい姿に救われる。リーを演じた90年生まれのジェニファー・ローレンスさんは、今作でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ一躍スターダムにのし上がった。日本では先に公開された「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」で変幻自在の青い肌を持つミスティークにふんしており、若いながらも彼女の演技の幅広さに改めて感心する。
風景の色合い、そこから放たれる作品全体のにおい……。やはりサンダンス映画祭でグランプリを獲得した「フローズン・リバー」(08年、コートニー・ハント監督)と重なる部分が多分にある。そういえば、あちらも女性監督の作品だった。女性というのはやはり、逆境にあらがおうとする意志の強さがあるのか。人間の持つ生き抜く力の強さに加えて、女性のたくましさが浮き彫りになる作品でもある。10月29日からTOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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