注目映画紹介:「フェア・ゲーム」 CIA秘密諜報員の回顧録と入念な取材で情報量の多い作品に

「フェア・ゲーム」の一場面 (C)2010 Summit Entertainment,LLC.All Rights Reserved.
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「フェア・ゲーム」の一場面 (C)2010 Summit Entertainment,LLC.All Rights Reserved.

 ナオミ・ワッツさん、ショーン・ペンさんという実力派の2人が共演するクライム・サスペンス。「ボーン・アイデンティティー」(02年)や「ジャンパー」(08年)などのダグ・リーマン監督が手がけ、実在する元CIA女性秘密諜報員の回顧録を基に映像化した。

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 イラクに核開発計画などないことを潜入捜査の末に突き止めたCIA秘密諜報(ちょうほう)員のヴァレリー・プレイム(ワッツさん)。その夫で元ニジェール大使のジョー(ペンさん)もまた、同様の調査結果を入手し米政府に報告する。ところが、ブッシュ政権はそれを無視し、イラクへ宣戦布告してしまう……。前半はヴァレリーの諜報員としての活動と、彼女の調査結果を無視し米国がイラクへ宣戦布告するまでが描かれ、後半は“真実”を世間に公表したために、政府の報復としてCIA諜報員であることを暴露された彼女の苦悩と、正義のための戦いが描かれている。

 プレイムさんの回顧録のみならず、周囲の人物への入念な聞き取り調査によって製作され、また、イラクの首都バグダッドでの撮影も行われたという作品は情報量がとにかく多い。かつ話が複雑で、さらにリーマン監督お得意のたたみかける展開が追い打ちをかけ、ボヤボヤしていると話に乗り遅れる。“プレイム事件”についての情報をわずかでも仕入れたうえで見に行くことをおすすめする。10月29日からTOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京都港区)ほか全国で公開中。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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