ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが「朗読倶楽部」の活動報告と名作を紹介する「乙葉しおりの朗読倶楽部」。第44回は太宰治の「ヴィヨンの妻」だ。
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皆さんこんにちは、乙葉しおりです。
紅葉のシーズン、皆さんはもう紅葉狩りには行きましたか?
私は朗読倶楽部のみんなとちょっとだけ遠出して、日本の紅葉の名所100選に数えられる場所での紅葉を楽しんできました。
「秋の夕日に照る山紅葉」でおなじみの童謡「もみじ」がすぐ思い浮かぶくらいに見事な赤でしたよ(*^^*)
でも、無意識にそれを口ずさんでいたみたいで、気がついたら部長さんに動画を撮影されていたんです。
恥ずかしいから消してってお願いしたんですけど、笑顔のまま応じてくれませんでした。
何かまたひとつ弱みを握られてしまった気がします……(>_<)
ところで一口に紅葉といっても種類があって、カエデなどの葉が赤くなるものは「紅葉」、イチョウなどの葉が黄色くなるものは「黄葉」、その他の葉が褐色になるものは「褐葉」というんだそうです。
葉の色が変化するのは、日照時間が短くなったり、葉が老化したりするなどが理由とされています。
ですが、「なぜ紅葉するように進化したのか」についてはまだ分からないことが多いそうで、害虫から身を守るためという研究結果が最近になって発表され、現在も研究が進んでいるようですよ。
ではここで、朗読倶楽部のお話、今回はクラブ活動での練習についてのお話です。
朗読倶楽部では普段さまざまな練習をしていて、その一部はこのコーナーでもお話しさせていただきましたが、今回は練習の中でもお遊び要素を含んだ「かるた」をご紹介します。
「なぜ練習にかるたを?」というと、実はちょっとした気分転換の意味合いが強かったりするのですが……。
本の朗読練習は、途中でかんだとか詰まったとか、あるいは声が小さいというような明らかなミスやウイークポイントを克服してしまうと、上達を実感することがだんだん難しくなってきます。
と、言うのも、何度も何度も同じ内容を繰り返し読んだり聞いたりしていると、どの発音やアクセントが正しいのかだんだん分からなくなってしまうんです。
先生から聞いたお話では、声のお仕事に携わるプロの方でもたまに起こるものだとか。
そこで分かりやすい達成感があって、気分転換かつ練習にもなるということで部長さんが提案したのが、「かるた」でした。
この場合主に練習の対象になるのは「詠み人」で、1ゲームが終わる目標時間を設定して、その時間にできるだけ近いところで終わらせるためにペース配分を考えながらゲームを進めていきます。
一方、参加する人はちゃんと聞き取れないと札が取れませんから、自然と読み手のミスに厳しくなっていくんです。
楽しみながら上達するためのすてきなアイデアだと思うんですけど、時々百人一首の札で音読の必要が全くない「坊主めくり」遊びをして、先生にあきれられたりもしています……。
……と、いうところで、今回はここまでです。
次回もまた、よろしくお願いしますね(*^^*)
■しおりの本の小道 太宰治「ヴィヨンの妻」
こんにちは、今回は太宰治さんの「ヴィヨンの妻」をご紹介します。
太宰治さん晩年の作品となるこのお話は、1947年に発表されました。
題名の「ヴィヨン」は、15世紀のフランスの詩人フランソワ・ヴィヨンさんから取られたものです。
でも、このお話は15世紀のフランスを舞台にしているわけではなく、終戦直後の1946年、年の瀬の東京から物語が始まります。
大谷家は、詩人の「大谷」さんに、妻の「さっちゃん」と、病弱な幼子の3人暮らし。
大谷さんは家庭を顧みず、いつも家を空けてはお酒を飲み歩いていたため、子供がおなかをこわしても熱を出しても、お医者さんに診せるお金もなく、さっちゃんが添い寝してあげることしかできませんでした。
ある晩、大谷さんは行き着けの小料理屋「椿屋」からお店のお金を盗んで家へ持ち帰り、後を追って来た椿屋の夫婦ともめた揚げ句、一人で逃げてしまいます。
残されたさっちゃんは、警察ざたにすると言う椿屋夫婦をなだめ、「後始末をしてうかがいますからもう一日待って下さいまし」と、無理にその場を取り繕ったのですが……。
このお話の題名になったフランソワ・ヴィヨンさんは、作中で大谷さんが寄稿した論文として登場していますが、実は大谷さんのモデルにもなっていたようです。
太宰治さんはこのお話を書く前に、ヴィヨンさんが詩集「遺言の書」を読んでいたという記録があり、詩集で詠われた内容や、ヴィヨンさんの半生、詩を詠った時点の年齢など、大谷さんと多くの共通点がありました。
このあたりは「パロディーの名手」と呼ばれる太宰治さんならではの作風が見える一方で、死を望みながらも神様が死なせてくれないと大谷さんが嘆く下りは、作者自身の生涯と重なります。
太宰治さんの作風が末期へ向けて変質する転機になったとも言われているこのお話、ぜひ一度読んでみてください。
※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして配信している。1話約20分で250円。
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