ドラゴンボールDAIMA
第6話 イナヅマ
11月18日(月)放送分
人気アニメ「忍たま乱太郎」が今年放送30年を迎える。一見すると子供向けの作品と捉えられがちだが、実は幅広い層に根強いファンを持つことでも知られている。そんな長寿作をアニメコラムニストの小新井涼さんが独自の視点で分析する。
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アニメ「忍たま乱太郎」が今年で放送30年を迎えるということで、お祝いコメントやスペシャルムービーが続々と公開され、盛り上がりをみせています。
現行で作品をみているキッズ・ファミリー層はもちろん、意外に思う方もいるかもしれませんが、今もリアルタイムで作品を追っている大人たちからの反応もかなり大きいです。一見そうはみえない本作が、大人たちの間でも根強い人気を持ち続けるのは、一体なぜなのでしょうか。
理由の一つとして、本作がメインの視聴層であるキッズ・ファミリー層だけでなく、大人になってから“再入学(改めてハマる)”するファンが多い点が挙げられると思います。そしてその要因となっているのが、作品の随所にちりばめられている、大人になって見ることで改めて気づく面白さです。
たとえば、実は豪華な本作のキャスト陣。初めて「忍たま」に触れた当時は、まだ声優という存在を知らなかったという人もいたことでしょう。そうした人たちが大人になり、いわゆる有名声優を知り、好きな声優ができた後に改めて本作のクレジットを見ると、乱太郎たちをはじめ、実はよく知る豪華なキャスト陣がそろっていることに驚きます。
時間経過と共に、さまざまな作品に触れた後で見るからこそ気づくこの発見は、本作を「昔見ていたな」という単なる懐かしい作品としてではなく、今一度深掘りしてみたくなる作品として、改めて興味を持つ大きなきっかけにもなることでしょう。
次に挙げられるのは、豊富なキャラと彼ら彼女らの多彩な関係性です。
豪華なキャスト陣と同様、改めて見た時に驚くこととして、本作のキャラクターの豊富さがあります。おなじみの一年は組の良い子たちだけでなく、同学年のい組やろ組の生徒たち、先輩たちや職員たち、そして学園外にもドクタケをはじめ、兵庫水軍やタソガレドキ、風魔流忍術学校関係者など、実はとんでもない数の個性豊かなキャラが存在しているのです。
加えて、そのキャラクターたちそれぞれが、委員会や同室、親族や敵対といったさまざまな関係性を持っており、その関係に合わせて多彩な一面をみせてくれるのも魅力のひとつとなっているのではないでしょうか。たとえば、いまにだ覚えている人も多いであろう四年生の平滝夜叉丸も、年下の乱太郎たちにさえうんざりされる自分大好きな一面が印象的ですが、体育委員会では暴走気味な委員長のもとで、後輩たちをフォローする面倒見のいい一面もみせます。
シンプルにお話を楽しむのはもちろん、そうした小さい頃には気づかなかった多彩なキャラの存在やその関係性を知り、深掘りしていくのも、大人になって改めてハマった際に本作の深い沼に落ちていくきっかけとなりそうです。
最後に挙げたいのは、実は本格的な部分も多い忍術や歴史描写です。
コメディー要素も満載な作品なので、当時ではありえない道具や言葉、食べ物なども登場する一方で、一流の忍者を目指す忍たまたちの物語であるため、随所で登場する忍術や忍器の解説は本格的。それだけでなく、火器や武器、人々の生活や戦への対応など、さり気なく本格的な時代描写も随所に盛り込まれており、日本史を知った後で見ると、実は大人でも勉強になるエピソードも少なくありません。
戦国時代や江戸時代を舞台とする作品は多い中、意外と知らない本作の舞台・室町時代の風俗や、細かな忍術の解説など、原作マンガの本格的な時代考証を反映したアニメでのこうした描写も、大人たちを思いがけず夢中にさせる一助となっていると思います。
こうした魅力が再発見されたこともあり、本作は特に2000年代後半以降から大人のファンが急増し、2.5次元ミュージカル化やドラマCDの発売といったこれまでにない展開も増えるなど、再入学する大人たちを増やし続けてきました。
また、そうして一度は卒業した人々が改めて本作を視聴し始める時に、いつも変わらず迎えてくれる主題歌「勇気100%」の存在も大きいと思います。歌唱する人は代々変わってきているものの、この曲を聴くだけでどんなにブランクが空いていても、忍たまに初めて出会ったあの頃の感覚を思い出させてくれて、一気に再入学のハードルを下げてくれるからです。
そうしていつだって誰に対しても大きく門戸を開いていてくれる本作だからこそ、再入学した人たちをはじめ、大人のファンも数多く存在しているのではないでしょうか。
こあらい・りょう=埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。明治大学大学院情報コミュニケーション研究科で、修士論文「ネットワークとしての〈アニメ〉」で修士学位を取得。ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)の全アニメを視聴して、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続中。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めており、現在は北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程に在籍し、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。
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