ドラゴンボールDAIMA
第6話 イナヅマ
11月18日(月)放送分
人気グループ「Kis-My-Ft2(キスマイ)」の宮田俊哉さんが、ゲームやアニメが人気の「うたの☆プリンスさまっ♪(うたプリ)」のキャラクター、一ノ瀬トキヤとコラボした「Nemophila」のミュージックビデオ(MV)が人気を博している。コメント欄にも絶賛の声が数多く寄せられるなど、“三次元”と“二次元”の異色コラボがどうして受け入れられているのか。アニメコラムニストの小新井涼さんがその理由を考察する。
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人気グループ「Kis-My-Ft2」の宮田俊哉さんが、「うたの☆プリンスさまっ♪」のアイドル「ST☆RISH」の一ノ瀬トキヤさんとコラボした楽曲「Nemophila」のMVが公開され、わずか1週間足らずで100万再生を突破するほどの盛り上がりをみせました。SNSでの反応やYouTubeのコメント欄をみると、本作がこれだけ盛り上がっているのは、キスマイファン、うたプリファンの双方が、互いのアーティストを歓迎していることも大きいようです。
双方は同じ人気アイドルとはいえ、はたから見ればジャニーズと二次元という畑違いの別ジャンルでもあります。それも推しを想う熱心なファンが多いからこそ、コラボ内容によっては「何でうちの推しが?」と、それぞれのファンから反発や拒否反応も起きかねないのでは……と思う人もいるかもしれません。
そんな中、本作が両方のファンからこれほどまでに前向きな反応を得たのは、一体なぜなのでしょうか。
まず大きかったのは、宮田さんが貫いてきたアニメ好きとしての姿勢だと思います。今ではすっかり“宮田ニキ”として、二次元ファンからもその“ガチ”さや作品と関係者へのリスペクトに定評がある宮田さんとのコラボということで、「うたプリ」ファンも、問答無用で拒否反応を示すこともなかったのでしょう。
そして何より、そんな宮田さんのアニメ好きな一面も含めて彼を応援し続けてきたのが、他でもない宮田さんのファンであることもポイントです。そうしたファンにとってこのコラボは、自分たちのジャンルに畑違いの二次元ジャンルが踏み入ってきたのではなく、むしろ宮田さんが好きを貫いてきた分野で、アイドルとしても“アニオタ”としても高く評価されたからこそ実現した出来事として、歓迎されたのだと思います。
それまで「うたプリ」や一ノ瀬さんを知らなかったファンからも、「え、誰?」という警戒や戸惑いではなく、真っ先に「コラボおめでとう」「コラボありがとう」というポジティブな声が上がっていたのも、そのためではないでしょうか。
もうひとつのポイントは、コラボ相手である一ノ瀬トキヤさんを、ゲームやアニメのいちキャラクターというよりも、一人のアイドルとして扱っている点です。
もちろん一般的な説明として、彼が「うたプリ」に登場するキャラクターであることや、CV(キャラクターボイス)が声優の宮野真守さんであることは紹介されています。しかし実際のMVの演出をはじめ、作詞は2人が担当したという説明や“Lyrics:宮田俊哉/一ノ瀬トキヤ”の表記などから、人気ゲーム・アニメとのコラボというより、“アイドル宮田俊哉とアイドル一ノ瀬トキヤのコラボ”だと意識されていることが伝わる内容にもなっているのです。
一ノ瀬さんをはじめとするアイドルたちのSNSアカウントなどをみても分かる通り、「うたプリ」は彼らをキャラクターというより、実在する一人のアイドルとして展開していることも魅力の一つとなっています。そうした世界観を崩すことなく、人気アイドル同士の共演として展開されていることで、「うたプリ」ファンも、自分たちのジャンルへの理解を感じて、別ジャンルへの不信感を抱くことなく、コラボを歓迎できたのではないでしょうか。
熱心なファンが多いからこそ、はたからみると別ジャンルの介入には厳しそうに思えてしまうかもしれませんが、ファンも決して対立したいわけではないので、こうしたコラボ相手には、警戒よりも、感謝やそれをきっかけに興味を持つことの方が多いです。実際に今回も、元々キスマイも「うたプリ」も好きだったファンはもちろん、初めて触れたファン同士が互いにコラボ相手のファンへ「他の曲も聴いてみます!」「この曲オススメです」と伝えあうなど、前向きな交流が行われています。
それでも、単なる話題性目当てにみえる名前ばかりのコラボであったなら、応援している大事なアイドルを変に巻き込んでほしくないと、ファンからは反発や拒否反応も生まれてくるかもしれません。しかし本作のように、互いに双方のジャンルへの理解とリスペクトがあれば、ファンも“夢の共演”だと歓迎できるのだと思います。
こあらい・りょう=埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。明治大学大学院情報コミュニケーション研究科で、修士論文「ネットワークとしての〈アニメ〉」で修士学位を取得。ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)の全アニメを視聴して、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続中。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めており、現在は北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程に在籍し、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。
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