女優の宮沢りえさんが12年1月に上演される唐十郎さん作で蜷川幸雄さん演出の舞台「下谷万年町物語」に出演することになり、19日、制作発表会に登場した。蜷川作品初参加となる宮沢さんは「プレッシャーが大きい役なので、(出演を)ちょっと迷った。でも、この戯曲をほかの女優さんがやったら悔しいだろうなと思いました」と話し、役者に向かって灰皿を投げつけるほど厳しい蜷川さんの演出については「何なら、灰皿が飛んでこいという気持ちでけいこに臨みたい」と意気込んだ。
あなたにオススメ
来春朝ドラ「あんぱん」の“二人の妹” 朝ドラヒロインまで手が届くか
「下谷万年町物語」は、81年に西武劇場(現・PARCO劇場、東京都渋谷区)で上演された舞台作品の再演。唐さんが幼年期を過ごした下谷万年町(東京都台東区)を舞台に、社会の底辺で力強く生きる人々をたくましく描く。当時は、男娼(だんしょう)役だけで100人のキャストが登場するなど膨大な出演者数、大きな池や舞台を覆う長屋などのセットも話題となった。宮沢さんのほか、同じく蜷川作品初出演となる男女7人組ユニット「AAA」の西島隆弘さんが出演。ほかにも、97年に蜷川さんに見いだされて俳優デビューした藤原竜也さんに加え、唐さんも出演する。
発表会には、宮沢さんのほか、藤原さん、西島さん、蜷川さん、唐さんも登場。宮沢さんが「(蜷川さんが投げる)灰皿をどうキャッチするかは、藤原さんにお聞きできれば」と話せば、西島さんは「最近は靴を投げると聞いているので、僕は蜷川さんの靴が全部なくなるくらい、投げられたい」とコメント。藤原さんは「イスが飛んできて、殺されるんじゃないかと思うこともある」と2人を脅しつつ「僕は10代のころ、蜷川さんにこんなに素晴らしい世界があるのかと体感させてもらった」と蜷川作品への思いを語った。当の蜷川さんは「最近は、靴は投げません。『蜷川さん、優しくなった』と言わせるぞ」と笑顔で話した。
また、蜷川さんは3人の起用理由を「西島君は映画『愛のむきだし』の演技が素晴らしくて、感動した。宮沢さんは、何でオレ以外の演出家とやっているんだと思っていた。竜也は、いつもなので」とコメント。また、宮沢さんは2歳となる娘について「笑顔にエネルギーをもらうことはあるけど、芝居に入ると誰も助けてくれない。そういう意味では孤独。でも、家に帰ってホッとできる場所があるのは幸せです」と話した。
舞台は、Bunkamuraシアターコクーン(東京都渋谷区)で、12年1月6日~2月12日に上演。(毎日新聞デジタル)