渡哲也&渡瀬恒彦:撮影終了惜しむ 40年ぶり兄弟共演楽しむ

「帰郷」制作発表会見でがっちり手を握り合う渡哲也さん(右)と渡瀬恒彦さん
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「帰郷」制作発表会見でがっちり手を握り合う渡哲也さん(右)と渡瀬恒彦さん

 俳優の渡哲也さんと渡瀬恒彦さん兄弟が40年ぶりに共演することで話題となっているTBSの年末ドラマスペシャル「帰郷」がクランクアップし、制作発表が5日、千葉県市川市の行徳文化ホールで行われた。渡瀬さんは「ああ、終わっちゃうんだ。映画一本終わってもこんなに寂しいことはないのに」と話した。渡さんも「こないだ始まったばかりで『もう終わりなのかな』という寂しさ。もうちょっと長くてもよかったんじゃないか。やっぱり撮影が楽しかったんじゃないでしょうか」と名残惜しみつつも、兄弟の共演は「もう十分です」と満足げな笑顔を見せていた。

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 ドラマは、医者であるがゆえに起こってしまった兄弟の悲しい過去を、下町の人情気質あふれる仲間たちが温かく包み込んでいくヒューマンドラマ。江戸川沿いにある街で、親子2代にわたって続く神尾病院を営む院長・神尾龍太郎(渡さん)は、クリスマスイブに愛娘が結婚相手を連れてくるという話に動揺する。その日の夕方、21年前に妻も娘も失い、故郷を捨てた龍太郎の弟で医師の神尾真次郎(渡瀬さん)が帰郷する。真次郎にはどうしてもやらなければならない目的があった。真次郎は実家に戻らず亡くなった妻の妹・あさみ(大竹しのぶさん)の元にいることを龍太郎が知ったのは、数日後のことだった。21年間兄弟を隔てた確執とは、真次郎の目的とは……という物語。渡さんら兄弟の共演は、71年に放送されたNHKドラマ「からくちあまくち」以来で、その時も今回も兄弟役での出演だった。

 会見には、渡さんと渡瀬さんのほか、富司純子さん、大竹さん、柄本明さん、徳重聡さんも登場した。渡さんは40年前を振り返って「私も決してうまくないけれど、恒彦は私以上にへただったな(笑い)。心配ばかりしながら撮影していました。今回は、俳優の2人が芝居を一緒にしているという感覚だった。10年前なら兄弟で照れくさいからたぶん断った」と語り、今の渡瀬さんを「私をはるかに超えた俳優になった。私はボール気味のストレートしか投げられないですが、弟はフォークとか、スライダ−とか、カーブとか投げられる」と例え、「これくらいにしときます」と恥ずかしそうに笑った。

 渡さんの言葉を受けた渡瀬さんは「直球しか投げられない人だな」と照れながら、「40年前はなにも考えられなくて、ただ言葉をしゃべっているだけで、なにも覚えていないくらい舞い上がっていた。今回はたぶん最後になるだろうなという思いもあったので、ある種の寂しさを感じました」と振り返り、渡さんとの共演については「今回で最後と言ったが、前言を撤回します。(今回の)みんなが出てくれるならやりたい」と笑顔で話していた。ドラマは12月23日午後9時から2時間半放送予定。(毎日新聞デジタル)

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