渡哲也:渡瀬恒彦と40年ぶり共演で再び兄弟役 「最後」としみじみ

TBSの年末ドラマスペシャル「帰郷」で40年ぶりに共演した(左から)渡哲也さん、渡瀬恒彦さん
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TBSの年末ドラマスペシャル「帰郷」で40年ぶりに共演した(左から)渡哲也さん、渡瀬恒彦さん

 俳優の渡哲也さんと渡瀬恒彦さん兄弟がTBSで放送される年末ドラマスペシャル「帰郷」で40年ぶりに共演することになり、9日、撮影地の池上大坊本行寺(東京都大田区)で取材に応じた。共演は71年に放送されたNHKドラマ「からくちあまくち」以来で、その時も今回も兄弟役での出演となる。今回のドラマは小椋正樹プロデューサーが10年前から温めていた企画で、満を持して実現した共演について、渡さんは「おそらく(共演は)最後でしょうね……」としみじみと語り、渡瀬さんも「うまいことスケジュールが合って、両方が面白がれるようなものだったら可能性があるが、なかなか難しいでしょうね」とうなずいた。

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 今回のドラマ出演の経緯について、半年ほど前に渡瀬さんからの電話で出演を決めたという渡さんは「共演のオファーは今までに2、3回あったが、弟と演技する照れくささから断っていた。でもこの年になるとぜひやってみたい。『恒彦さえよければ、俺はやりたいよ』と答えました」と話した。一方、6年ほど前に兄弟での共演は「大事にとっておきます」と話していたという渡瀬さんは「我々の持っている時間がもうないものですから(笑い)。まだオファーがあるうちに」とちゃめっ気たっぷりに答えた。

 渡瀬さんの撮影初日となった取材当日は、兄弟の怒鳴り合いのけんかと、渡瀬さんが渡さんにお墓の花を投げつけるという2シーンを撮影したといい、渡さんは「怒鳴り合うシーンでどの程度エスカレートするか、前日に僕の方から電話しました。結局『現場でやってみないと』という話になった(笑い)」と明かし、「実の兄弟で演じているという意識はない。両方とも重いシーンだったけれど、(本当の)兄弟なものですから、『お前どう思う?』ってすぐに相談できるのが私にとって助けになっています」と答えた。一方の渡瀬さんは「始まる前は何か変な感じなんですが、『用意』と声がかかるとそういうのは飛んでっちゃう。役に入っていけるもんだな」と久々の共演を振り返った。

 お互いに俳優としての魅力を聞かれると、渡瀬さんは「俳優ってその人自身で成り立っているのと、役で成り立っているのがありますが、兄貴は自身で、僕は役でだと思います」と話した。渡さんが「身内なもんですから話しにくいんですけれど、味のあるいい俳優になったなと思いました」と渡瀬さんを絶賛すると、渡瀬さんは照れながら「僕から見たら、兄貴程度の芝居しかできなかったら、とっくに消えていただろうなと思います」と話し、「兄貴程度とはどういう意味だ」と渡さんにたしなめられ、仲のいい兄弟ぶりをにじませていた。

 ドラマは、医者であるがゆえに起こってしまった兄弟の悲しい過去を、下町の人情気質あふれる仲間たちが温かく包み込んでいくヒューマンドラマ。江戸川沿いにある街で、親子2代にわたって続く神尾病院を営む院長・神尾隆太郎(渡さん)は、クリスマスイブに愛娘が結婚相手を連れてくるという話に動揺する。その日の夕方、21年前に妻も娘も失い、故郷を捨てた隆太郎の弟で医師の神尾真次郎(渡瀬さん)が帰郷する。真次郎にはどうしてもやらなければならない目的があった。真次郎は実家に戻らず亡くなった妻の妹・あさみの元にいることを隆太郎が知ったのは、数日後のことだった。21年間兄弟を隔てた確執とは、真次郎の目的とは……という物語。共演には、富司純子さん、小手川祐子さん、内田有紀さん、大竹しのぶさん、柄本明さんという豪華な顔ぶれが並ぶ。

 ドラマの見どころについて、渡さんは「人間関係再生のドラマ。医療に従事する者として、兄として、父親としてあるべき姿を問いかけていくドラマではないかと思います」と話し、渡瀬さんは「小椋プロデューサーは、顔に似合わずチャーミングな仕事をする。登場人物みんながすてきに描かれている。個人的には柄本明と大竹しのぶがずっとしゃべっているシーンが早く見たい」と答えていた。ドラマは12月23日午後9時から2時間半放送予定。(毎日新聞デジタル)

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