森田芳光さん死去:遺作のヒロイン貫地谷「大ヒットを」と誓う 通夜に700人

森田芳光さんの通夜を訪れた貫地谷しほりさん
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森田芳光さんの通夜を訪れた貫地谷しほりさん

 20日に急性肝不全のため、61歳で亡くなった映画監督の森田芳光さんの通夜が23日、東京・青山葬儀所でしめやかに営まれ、遺作となった12年3月24日公開の映画「僕達急行 A列車で行こう」に出演する松山ケンイチさん、貫地谷しほりさんのほか、役所広司さん、秋吉久美子さん、川原亜矢子さんら芸能人や堤幸彦監督ら監督仲間を含む700人が訪れた。

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 「A列車で行こう」でヒロインを演じた貫地谷さんは、 監督から「貫地谷おもしろいからな」と声をかけられたと言い、 「もっと応えられるようにと思っていたのに」と言葉を詰まらせた。昨年11月に同作の打ち上げで監督と会ったのが最後だといい、 「(映画は)監督も『絶対面白いから』とずっと言っていた。 大ヒットして監督に伝えられたら」と力を込めた。

 法名の「常然院釈芳映(じょうねんいんしゃくほうえい)」は故人の名前一字「芳」と映画の「映」から付けられた。遺影は05年にスタッフが撮影したもの。この日、参列者は監督へメッセージをしたため、明日の告別式でも同様にメッセージを受け付け、両日分を合わせて棺に入れる予定。

 芸能界からは、貫地谷さんらのほか、八千草薫さん、深津絵里さん、根岸吉太郎監督、小林薫さん、高田文夫さん、篠原哲雄監督、堤幸彦監督、鈴木京香さん、佐々木蔵之介さん、小池栄子さん、堺雅人さん、伊東美咲さん、お笑いコンビ「ドランクドラゴン」の塚地武雅さん、滝田洋二郎監督、渡辺真知子さん、ピエール瀧さん、鈴木亮平さん、木村佳乃さん、石田ゆり子さん、太田光代さん、小澤征悦さん、佐藤浩市さん、行定勲監督、宮川一朗太さん、松居一代さんらが訪れた。

 森田監督は東京都出身。日本大芸術学部出身で、自主製作の「ライブイン茅ヶ崎」(78年)が評価され、コメディー「の・ようなもの」(81年)で商業映画デビュー。松田優作さんが風変わりな家庭教師を演じた映画「家族ゲーム」(83年)で監督としての名声を確立。その後は夏目漱石の名作に挑みキネマ旬報ベストワンになった「それから」(85年)、とんねるずを起用したコメディー「そろばんずく」(86年)など多彩なジャンルの作品を手掛け、エンターテインメント作家としての手腕を磨いた。渡辺淳一さん原作の「失楽園」(97年)、向田邦子のドラマをリメークした「阿修羅のごとく」(03年)、黒澤明監督の名作を同じ脚本で再映画化した時代劇「椿三十郎」(07年)、ベストセラーが原作の「武士の家計簿」(10年)など、精力的に作品を発表し続けた。12年3月公開の「僕達急行 A列車で行こう」が遺作となる。(毎日新聞デジタル)

 ◇参列者のコメント

▽役所広司さん/「『失楽園』(97年)の宣伝で全国を一緒にまわったのが思い出。監督はお酒飲めないけど、夜遊びが好きで『ウーロン茶ロック』と言っていた。早すぎですよね。信じられないです。(監督の作品は)独創的で誰の真似もしていない。見たことのない映画を作ろうとしていて、自分が作りたいものに向かって誠実に作っている。新作映画に息子(俳優の橋本一郎さん)が出演させてもらっているのでお礼を言いたかった。ずっといい作品を作ってこられた方、見守ってくださいと言いました」

▽秋吉久美子さん/「(森田監督は)少年が青年になったような感じの人。(撮影は)若さとまぶしさにあふれた日々でした。一期二会、三会、四会と(仕事を)やる機会があったのに、今日というお葬式の日に会うことになってしまったのが残念でなりません」

※81年の「の・ようなもの」でヒロイン・エリザベスを演じた

▽川原亜矢子さん/「海外に住んでいたこともありご挨拶できず、そのとき(89年の映画『キッチン』)以来の再会となってしまった。元気なときにお会いしたかった。(監督から)『思ったように素直にやりなさい』と言われた。森田さんの言葉を思い出して今日まで取り組んできた。(祭壇では)ごあいさつできなかったこと許してください。監督にお会いできたことうれしいです。ゆっくり休んでください(と伝えた)」

※映画「キッチン」で女優デビュー

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