本の王子様:年間トップは「To LOVEる ダークネス」 震災の影響も

まんが王の年間トップに輝いた「To LOVEる ダークネス」1巻(集英社)
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まんが王の年間トップに輝いた「To LOVEる ダークネス」1巻(集英社)

 マンガ、ライトノベルの専門店「まんが王八王子店」のバイイングマネジャー・日吉雄さんが、売れ筋商品を毎週報告する「本の王子様」。今回は特別編として、コミックスの年間ランキング(10年12月~11年11月)を基に、今年のマンガ事情を振り返ってもらいました。1位に輝いたのは3月に発売された「To LOVEる ダークネス」1巻(集英社)でした。

ウナギノボリ

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 年間ランキングでは、発売当時もすさまじい売れ行きを記録していた「To LOVEる ダークネス」1巻がトップに立ちました。2巻以降が発売されたタイミングでのまとめ買いが多かったのも特徴で、息の長いセールスを記録しました。1巻目ではまだ買い控えというお客さんも増えているようですね。また、人気作家さんの最新作やヒット作のスピンオフ作品が並ぶ上位陣のなかで、アニメのコミカライズではありますが、やはり3、4位に入った「魔法少女まどか☆マギカ」の存在も光ります。

 振り返ってみると、今年はさすがに3月の東日本大震災の影響なしには語れません。震災当初からしばらく買い控えが起きましたが、6月ごろから持ち直し始め、8月ぐらいには震災前とほぼ同じ水準まで回復しました。3~5月に発売された作品はやはり震災の影響を受けていますね。

 ただ、八王子は計画停電の対象区域だったこともあり、電気を使わず安価で楽しめる娯楽として、マンガの存在意義が見直されたとも感じましたね。震災の影響か、さいとうたかをさんの「サバイバル」なども売れました。

 また、ランキングをみると人気の一極化が激しくなっていると感じました。0か100かという感じで、売れる作品とそうでない作品の差が顕著に出ています。人気ブログやネットニュースで取り上げられたり、書店でフェアをやっている作品は爆発的に売れるのですが、一方で一冊も売れずそのまま返本という作品も多くなっています。当店独自のフェアを仕掛けて売れた「東京!」のように、書店の頑張りが売り上げにつながるのはうれしいことですが、お客さんが自分で面白い作品を探すということは減っているような気がしています。

 ◇まんが王八王子店の年間マンガランキング(10年12月~11年11月)

1位 To LOVEる ダークネス(1)

2位 ドリフターズ(2)

3位 魔法少女まどか☆マギカ(1)

4位 魔法少女まどか☆マギカ(2)

5位 よつばと!(11)

6位 To LOVEる ダークネス(2)

7位 とある科学の超電磁砲(6)

8位 乙嫁語り(3)

9位 進撃の巨人(3)

10位 東京!(1)

 ◇プロフィル

 ひよし・ゆう=マンガやライトノベルの豊富な品ぞろえで知られるマンガ専門書店「まんが王八王子店」のバイイングマネジャー。売れ筋を読み取り、お客のニーズを満たし続けるマンガ売りのプロ。

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