ダンダダン
第7話「優しい世界へ」
11月14日(木)放送分
話題のライトノベルの魅力を担当編集者が語る「ラノベ質問状」。今回は、死んだ父親の後を継いで宇宙海賊の船長になった女子高生の奮闘を描いたスペースオペラ「ミニスカ宇宙海賊(パイレーツ)」(笹本祐一著、松本規之画)です。朝日新聞出版書籍編集部に作品の魅力を聞きました。
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−−この作品の魅力は?
海明星に住む女子高生の加藤茉莉香は、ある日突然、幼いころに死んだと思っていた父親が最近まで宇宙海賊船・弁天丸の船長だったことを知り、実際に父親が死んだ今、世襲が海賊船存続の絶対条件の規約のせいで、自分が跡を継がなければ弁天丸が消滅してしまうと聞かされます。学校でヨット部に所属し宇宙への夢を育んでいた茉莉香は、迷った末に弁天丸の船長に就任します。かくして学業との両立を目指す現役女子高生の宇宙海賊が誕生。海千山千の弁天丸の乗組員、高校のヨット部の仲間たち、密航してきた星王家の皇女などの魅力的な脇役陣とともに、茉莉香の宇宙での活躍が始まります。かっちりとした設定に基づいて軽やかに展開される茉莉香の冒険の物語はテレビアニメ化され、「モーレツ宇宙海賊」のタイトルで現在放送中です。
−−作品が生まれたきっかけは?
08年10月に朝日新聞出版から新レーベルの朝日ノベルズを立ち上げることになり、創刊ラインアップに新シリーズをと笹本さんにお願いしました。その時にいただいたのが、父親の跡を継いで船長として海賊船に乗り組む女子高生宇宙海賊のアイデアでした。こりゃ、いけそうだと即決でお願いすることにしたのですが、仮題が「ミニスカ宇宙海賊」。最初は気恥ずかしい思いのタイトルでしたが、そのうち慣れて、これしかないと本決まりのタイトルになりました。
−−作家さんとイラストレーターさんはどんな方でしょうか?
キャラ作りが魅力的で、軽やかに物語を展開する笹本さんですが、根っからのSFの人で物語の世界設定はゆるがせにしません。それが、この十数年もの間に、ロケット打ち上げの取材に入れ込んで世界各地を飛び回り、取材仲間と自前のロケット打ち上げを企てるに及んで、ますますその傾向が強まっています。この硬軟のバランスがヒット作を生む秘訣ではないでしょうか。
イラストの松本規之さんは笹本さんの強い推薦によるものです。現在、「コミックブレイド」(マッグガーデン)で、マンガ「南鎌倉高校女子自転車部」を連載中の実力派で、1巻目のカバー・イラストをいただいた時、これはいけると思いましたね。でも最初のイラストでは船長服姿の茉莉香はズボンをはいていて、ミニスカートに描き変えていただきました。
−−編集者として、この作品にかかわって興奮すること、逆に大変なことについてそれぞれ教えて下さい。
何よりも、このシリーズを原作とするテレビアニメが現在放映中で、しかも実にいい出来の作品であることが、最大の興奮であり関心事です。原作の活字本も、多くの人に読んでほしいと思います。逆に「大変なこと」は、それはもう100人の編集者中の100人が間違いなく同じ思いと苦労をしていること、すなわち、予定通りに原稿を仕上げていただくことに尽きます。
−−今後の展開、読者へ一言お願いします。
3月にシリーズの8巻目を刊行する予定です。髑髏星(スカルスター)に茉莉香とともに滞在中の皇女グリューエルが誘拐され、それが思いがけない人物を巻き込んで展開していく痛快アクションです。6月にもう1冊、シリーズ第9巻を刊行したいと思っています。お楽しみに。
朝日新聞出版書籍編集部 朝日ノベルズ編集担当
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