東日本大震災で被災した岩手県の三陸鉄道(さんてつ)を舞台に、傷ついた人々が復興に向け奮闘する姿を描いた吉本浩二さんのドキュメンタリーマンガ「さんてつ 日本鉄道旅行地図帳 三陸鉄道 大震災の記録」が、3月9日に単行本として発売される。作者が実際に被災地へ足を運び、現地の人々にインタビューして描いたマンガとしては初のコミックスで、印税の一部は三陸鉄道に寄付される。全1巻。
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同作は、マンガ誌「月刊コミック@バンチ」(新潮社)で昨年10月から連載を開始し、今月21日発売の4月号で完結。三陸鉄道関係者を中心に現地取材を行い、地震発生時の混乱や津波で建物や船などが流される様子、その後の町の風景、そして厳しい現実の中で復旧のため働く“鉄道マン”たちのドラマを、リアルに描いている。
コミックスは、「日本鉄道旅行地図帳 東日本大震災の記録」(新潮社)の資料を用いて、震災発生時の列車の停車位置や、津波で消失した駅などを克明に掲載。また特別編として、津波に襲われた釜石市の遺体安置所をめぐる出来事を見つめたルポルタージュ「遺体−震災、津波の果てに」を執筆した石井光太さんと吉本さんの対談も収録される。
三陸鉄道は、岩手県の三陸海岸を縦貫する宮古駅−久慈駅間の北リアス線(71.0キロ)と、盛駅−釜石駅間の南リアス線(36.6キロ)を持つ第三セクターの鉄道会社。11年3月11日の震災で線路や駅舎などに大きな被害を受け、社員たちの不眠不休の復旧活動で同年3月16日に久慈駅−陸中野田駅間で運転を再開した。その後も同月20日に宮古駅−田老駅間、同月29日に田老駅−小本駅間で運転を再開。しかし現在も全線の3分の2が不通で、復旧に向け懸命な努力が続いている。今月1日には新たにレールを敷設する工事が野田村駅で始まり、今年4月に不通区間の一部が開通する予定。14年4月の全線再開を目指しているが、100億円以上の復旧費用が必要とされている。(毎日新聞デジタル)
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