俳優の渡辺謙さんが11日、東京都内で開かれた映画「はやぶさ 遥かなる帰還」(瀧本智行監督)の初日舞台あいさつに登場。「はやぶさ」のプロジェクトマネジャー・JAXA教授の川口淳一郎さんをモデルにした山口駿一郎を演じ、自身も映画のプロジェクトマネジャーとして制作に携わった渡辺さんは「この映画にとって門出の日。映画を届けるために動いてきた。本当はもっとうれしい気持ちになるはずだったんですけど、なんだろう……」と感極まって涙を見せ、「はやぶさ帰還のときに山口駿一郎が感じたような一抹の寂しさを感じています。でも必ず小さなカプセルですけど、映画に込めて、たくさんの人に届けていけると思う。カプセルをしっかり受け止めてもらえれば」と涙ながらにあいさつした。
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「はやぶさ」は、03年5月に宇宙科学研究所(現宇宙航空研究開発機構、JAXA)が打ち上げた小惑星探査機。小惑星イトカワで物質の採取に成功し、10年6月地球に帰還した。はやぶさを題材にした映画は、11年に角川映画配給のドキュメンタリー映画「はやぶさ HAYABUSA BACK TO THE EARTH」(上坂浩光監督)、20世紀フォックス配給で竹内結子さん主演の「はやぶさ/HAYABUSA」(堤幸彦監督)が公開され、3月10日に松竹配給で藤原竜也主演の「おかえり、はやぶさ」(本木克英監督)が公開される。
「はやぶさ 遥かなる帰還」は山根一眞さんの「小惑星探査機 はやぶさの大冒険」(マガジンハウス)が原作で、「はやぶさ」の歴史的偉業を日本から支えたプロジェクトチームの闘いを描いている。渡辺さんのほかに、江口洋介さん、吉岡秀隆さん、夏川結衣さん、小澤征悦さん、中村ゆりさん、石橋蓮司さん、藤竜也さんらが出演する。
舞台あいさつでは、「子供たちに何かを感じてほしい」と訴え続けた渡辺さんのために、サプライズで小学生が直筆で書いた映画の感想を用意。「あきらめないで頑張ろうと思った」「科学者になりたいと思った」などの感想に、渡辺さんは「難しい科学用語、浸透しにくいセリフをどう届ければいいか悩みながら監督と作りました。今何が起こって、何がしたくて、それが何に向かっているのかというのが、小学生の方でも受け入れてもらえたと思うとうれしい」と喜びを語った。
渡辺さんは、「大きな災害を受けた日本にとって、自分たちは何をできるのかと考えながらやりました。こんな素晴らしい日本人がいたんだと自慢してほしいし、誇りに思ってほしいと思う」と力強く呼びかけた。舞台あいさつには、江口さん、夏川さん、小澤さん、中村さん、吉岡さん、藤さん、瀧本監督も登場した。(毎日新聞デジタル)
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