ゲーム質問状:「極限脱出ADV 善人シボウデス」 ディレクターも職場を“脱出”

「極限脱出ADV 善人シボウデス」(C)2012 CHUNSOFT
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「極限脱出ADV 善人シボウデス」(C)2012 CHUNSOFT

 ゲーム制作に込めた開発者の思いを聞く「ゲーム質問状」。今回は、頭脳を駆使して極限状態からの脱出を試みる「極限脱出ADV 善人シボウデス」(チュンソフト)(3DS)です。チュンソフトのディレクター・シナリオライターの打越鋼太郎さんに作品の魅力を聞きました。

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 −−ゲームの特徴と、セールスポイントは?

 このゲームは、謎めいたストーリーを軸に展開されていく「ノベルパート」と、さまざまな思考型パズルによって構成された「脱出パート」、これら二つを融合させたサスペンス仕立てのゲームです。

 「ノベルパート」の中では、命を懸けた「アンビデックス(裏切り)ゲーム」というものが行われ、プレーヤーが「協力」を選ぶか「裏切り」を選ぶかによって、物語の展開はさまざまな形で変化していくことになります。それら心理戦や駆け引きを彩るのは豪華声優陣の声です。「ノベルパート」には全編にわたってキャラクターボイスが入っているため、より没入感の高いドラマチックな物語を体験することができます。

 一方「脱出パート」では、室内を探索し、アイテムを見つけ、それらを使ったり、パズルを解いたりしながら、閉じ込められた密室からの脱出を目指します。というと、なんだか難しそうなイメージを抱かれるかもしれませんが、決してそんなことはありません。「脱出パート」では難易度を変えることができるので「EASY」でプレーすれば、初心者の方でも自力で解いていただくことができるでしょう。逆にパズル慣れしていて「EASY」では物足りないという方は、初期の難易度が「HARD」に設定されているので、そのままプレーしていただければ、十分やり応えのある脱出ゲームをご堪能いただけると思います。

 −−開発のコンセプトは?

 まず本作のキャッチコピーは「アナタはきっと善人ではいられない」です。タイトルである「善人シボウデス」もここからきています。意味は……読んで字のごとし、です。

 もちろんこれは、上にも書かせていただいた「アンビデックスゲーム」に由来するもの。その駆け引きから生じる疑心暗鬼や猜疑(さいぎ)心(場合によっては人間不信に陥ることも……)それらを乗り越えた上で、あえて「協力」を選ぶのか、それともやはり「裏切る」のか……。そのあたりの葛藤やジレンマ、ドロドロとした人間ドラマをお楽しみいただければと思い、本作を企画するに至りました。趣味悪いですね(笑い)。

 −−今だから笑って明かせるけれど、開発当時は大変だったエピソードをお願いします。

 最近のアドベンチャーゲームは1本道のものが主流となりつつあり、それはそれでものすごく面白い作品がたくさんあるのですが、弊社チュンソフトでは「あえて原点に立ち返って、分岐の面白さを追求してみようじゃないか」ということで、結末がいくつも存在するマルチエンドのアドベンチャーゲームを目指すことになりました。が、実際にやってみたらこれがイバラの道で……。正直やらなければよかったと後悔したこともしばしばです。

 単に分岐が大量に存在するだけでも整合性を保ったりなど、作業的にはかなりヘビーなのですが、それに加えて本作では「シナリオロック」というシステムがあり、主人公がさまざまな歴史を渡り歩いて、その閉ざされたロックを解除していくという複雑な仕組みが盛り込まれています。

 これが本当に大変で……。自分でもシナリオを書いているあいだにわけがわからなくなって「あーっ!」と叫んで職場を“脱出”したくなりました。いや、ここだけの話、実際に何度か脱出したんですけどね(笑い)。

 ちなみに書き手としてはややこしかったのですが、プレーヤーの皆様が同じ思いをされることは決してありませんのでご安心ください。本作には「フローチャート機能」なるものが搭載されており、これを使えば一度通ったルートの所定の地点にいつでも自由にジャンプすることができます。ですから、ややこしさも、わずらわしさもなく、快適にさくさくと複数の物語を進めていくことができるのです。

 −−ファンへ一言お願いします。

 この物語にはさまざまな謎がちりばめられています。なぜ彼らはさらわれてきたのか? アンビデックスゲームの目的とはなんなのか? 最初に発見される老婆の死体、彼女は一体何者なのか? 仮面をかぶったKという人物、その仮面の裏側に隠された素顔とは? そもそも犯人は一体誰なのだろう? ラジカル6ウイルスとは? 反物質爆弾を仕掛けた人物とは?

 物語がクライマックスへと向かうにつれ、それらの謎はやがて一本のラインへと収束し、驚愕(きょうがく)の真相が明かされることになります。はたしてあなたは、その真相へとたどりつくことができるでしょうか。そしてその真相を受け止めることができるでしょうか。

 このゲームは「裏切り」をテーマにしていますが、決してあなたの期待を裏切ることはないでしょう。ぜひ手に取って、確かめてみてください。

 チュンソフト 開発部 企画セクション ディレクター・シナリオライター 打越鋼太郎

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