話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、強運で何もかも思い通りになる少女とその少女の元へ現れた貧乏神との“運争奪戦”を描き、アニメ化も予定されている助野嘉昭さんのコメディーマンガ「貧乏神が！」です。「ジャンプSQ．（スクエア）」（集英社）編集部の玉田純一さんに作品の魅力を聞きました。

あなたにオススメ

来春朝ドラ「あんぱん」の“二人の妹”　朝ドラヒロインまで手が届くか

　−−この作品の魅力は？

　人並み外れた「幸福エナジー」を持ち、人間界の運のバランスを乱す少女・市子に貧乏神の紅葉（もみじ）がとり憑（つ）いて……という内容の本作品は「幸福エナジー」争奪戦を繰り広げる神と少女を中心に、個性豊かなキャラクターたちがキレのいいドタバタコメディーを繰り広げます。また“幸福すぎるという不幸”に陥った市子の成長を描いたヒューマンドラマにもなっています。最初はいがみ合っていた市子と紅葉の間に生まれていく友情（？）に注目してください。

　−−作品が生まれたきっかけは？

　1巻にオマケマンガとして描かれていますが、助野先生が手塚賞で入選した「帰ってください。」（1巻に収録）という作品が、この「貧乏神が！」の基になっています。ある日、テレビから「女貧乏神」というフレーズが聞こえてきて、そこから妄想がふくらみ生まれたようです。そのあたりの細かい流れは、ぜひ1巻のオマケマンガを読んでいただければと思います。連載ネームの他に、キャラクターファイルやエピソードファイル、イメージボードも描いた助野先生でしたが、かつてあそこまで大量の資料を提出した作家さんはいなかったのでは。

　−−編集者として作品を担当するうえでうれしいこと、逆に大変だったエピソードを教えてください。

　助野先生は大阪在住なので、原稿を取りに行くのが他の先生より大変といえば大変かもしれません。だいたい夜に新幹線に飛び乗って、深夜に助野先生宅に着き、始発まで次の話の打ち合わせをする、という流れでやっています。話すこと自体が楽しいので、ついつい雑談になりがちですが、時にボケたり、時にツッコんだりしながらにぎやかに打ち合わせしています。打ち合わせの内容を超えるような面白い原稿が読めたときが一番うれしいですね。

　−−今後の展開、読者に向けて一言、お願いします。

　12年はアニメ化に合わせて、いろいろとみなさんに喜んでいただけるような展開が予定されています。まだ詳しいことはいえないことばかりですが、直近だと4月4日のコミックス12巻発売と同時に初の小説版が出ます。題して「貧乏神が！泰庵高校連続殺人事件」!　物騒なタイトルに似合わない爆笑必至の短編が4本収録されています。12巻と合わせてぜひ！よろしくお願いします。

　ジャンプSQ．編集部　玉田純一